退去を決意したのは、積み重なった施設への不信感と、母へのあまりにもひどい対応が許せなかったからです。
まず、想像を絶する費用の負担がありました。入居時に説明された金額以外に、
次から次へと追加の費用が発生し、「こんなにかかるなんて聞いていない」というのが本音です。毎月3万円ほどを雑費として施設に預けていたのですが、本当にあっという間になくなってしまうんです。もちろん、生活に必要な経費もあるのでしょうが、特に父が亡くなった後、母の費用明細を見たときに愕然としました。薬の量が驚くほど多く、病院の受診費用も高額になっていたのです。母は認知症以外にこれといった持病はなかったはずなのに、なぜこんなに大量の薬が必要なのか、どうしても納得できませんでした。父も持病があったので薬代はある程度仕方ないと考えていましたが、それにしても高額でした。結局、父と母の二人分の費用は、二人の年金を合わせても毎月15万円ほど足が出てしまう状況で、これは経済的に大変な負担でした。
そして何よりも、母への対応があまりにもずさんで、人道的とは言えなかったことです。
母が施設内で転倒し大腿骨を骨折したのですが、その報告を受けたのが、事故が発生してから2、3日も経ってからだったのです。
「本人が痛いと言わなかったから気づかなかった」というのが施設側の説明でしたが、そんなことがあり得るでしょうか。不信に思いケアマネジャーさんに相談したところ、「それは明らかにおかしい」と言われました。しかも、どこでどのように転んだのかもはっきりしません。「お部屋のドアの前で転んだ」とのことでしたが、実際にその瞬間を見ていたわけではないので、誰も本当のことは分かりません。認知症の母が部屋から出てしまっていた可能性も考えると、施設側の見守り体制そのものに大きな疑問を感じざるを得ませんでした。
さらに決定的だったのが、コロナで母が発熱した際の信じられない対応です。他の入居者さんへの感染を防ぐためという理由は理解できますが、母を部屋に閉じ込め、
ドアの前に大きなテーブルを置いて出られないようにしたのです。認知症で状況が十分に理解できない母は、どれほど怖く、不安だったことでしょう。パニック状態になり、ベランダに出て「危ない、助けて!」と叫んでいたと後から聞きました。この話を聞いた時は、本当に言葉を失いましたし、怒りで体が震えました。他の施設関係者の方々にもこの話をしましたが、「いくらコロナ禍とはいえ、その対応はあり得ない」と誰もが口を揃えておっしゃっていました。すぐに妹とも話し合い、一刻も早くこの施設から母を出すことを決意しました。
退去する際には、施設側から「うちでも手厚い対応はできますから」などと引き止められましたが、私たちの決意は変わりませんでした。正直なところ、施設長さんは金銭的な損得勘定が強い方なのかな、と感じました。そういったことも含めて、本当に、一日も早く退去できてよかったと心から思っています。
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