入居前はどのような状況でしたか?
母は一人で暮らしていました。長年パーキンソン病を患っており、以前は自分で買い物に行くなど活発な人でしたが、徐々に筋肉が硬直し始め、歩行が困難になってきている状態でした。ただ、この時点ではまだ杖や歩行器などは使っていませんでした。また、少し認知の症状も出始めていましたね。
私たち兄弟は皆、結婚などで家を出ていたので、直接面倒を見るのが難しい状況でした。父もすでに亡くなっており、近くに住んでいた姉が中心になって母の様子を見てくれていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
施設探しを考え始めたのは、やはり母の一人暮らしに限界を感じ始めたからです。歩行がだんだんおぼつかなくなり、認知の症状も出てきたことで、このまま一人にしておくのは心配だという話になりました。
私自身、介護の仕事をしているので、デイサービスなどを利用してはどうかとアドバイスはしていたのですが、姉が「もう手間がかかって限界だ」と抱え込んでしまい、限界を感じて施設探しを一気に進める形になりました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
施設に入れること自体は、介護の仕事を通じてその利点も知っていたので、母にとっては安心な選択だろうと思っていました。ただ、正直なところ葛藤はありました。それは、施設探しから決定まで、姉がすべて一人で進めてしまったことです。
私には介護の知識があるにもかかわらず、一切相談がなかったことには、腹立たしい気持ちもありました。介護の現場を知らない姉が、施設の表面的な部分だけを見て決めてしまったのではないか、という不安が大きかったです。姉は姉で、「自分が大変だ」という気持ちで追い詰められていたのだと思いますが、もう少し話してほしかった、というのが本音ですね。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
実は、私は入居決定前の見学には同行していません。業界の人間からすると、見学時に表向きの良い部分だけを見せるのはよくあることだと分かっています。内部を知る人間が見れば「ここは怪しい」と察せられますが、介護の現場を知らない素人である姉たちが選んだ場所だったため、「本当にちゃんとした施設なのか」という不安は正直ありました。