入居前はどのような状況でしたか?
父が亡くなった後、母は一人暮らしをしていました。当時はまだ足腰もしっかりしていて、杖などを使わずに自分の足で歩ける状態でした。ただ、高血圧や心臓に少し持病があったほか、片方の股関節に人工関節が入っていたので、物を拾うときなどにかがむ動作には注意が必要な状況でした。
たまに会いに行ったときなどには、同じ話を繰り返したり、会話が少し噛み合わなくなってきているな、と感じる場面はありました。ただ、日常生活そのものに大きな支障が出ていたわけではありませんでした。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
施設探しを考え始めた直接のきっかけは、母がリフォーム詐欺にあったことでした。クーリングオフの期限ぎりぎりになって、私に「お金を払わなければいけない」と連絡してきたんです。幸いクーリングオフが間に合い事なきを得ましたが、この一件で母自身が「もう一人で暮らすのは無理だ」と言い出しました。
ちょうど我が家が建て替えをしている最中だったので、完成したら一緒に住もうという話もしたのですが、母は「今更無理でしょう」と。そんな時に、自宅のすぐ近くに新しい施設ができると聞き、直接お話を聞きに見学に行ったのが始まりです。母が詐欺にあったということもあり、認定を取ろうという話になった矢先の出来事だったので、急いで話を進めることになりました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
入居を決めるにあたって、罪悪感というよりは、とにかく急がなければという焦りの方が大きかったように思います。母が詐欺にあったことで、「また何かあったら困る」という気持ちが強く、ゆっくり時間をかけて他の施設を比較検討するという余裕がありませんでした。
今振り返ると、もっときちんと調べてから落ち着いて決めればよかったのですが、当時はバタバタと話が進んでしまったという感じです。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
最初に見学した時は、まだ母が入居する予定のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の建物は完成していませんでした。そのため、同じ事業所の高級なタイプの棟を見せていただき、「これのもう少し小さい版になります」という説明を受けました。
後日、実際の入居先が中古マンションの中2階部分をワンフロア借り上げて運営すると聞き、少し驚きました。特に、中2階なので建物に入るのに階段を使わなければならないと知った時は、「高齢者が住むのに大丈夫なんですか」と率直に尋ねたのを覚えています。また、食事も歩いて2、3分離れた別の棟まで自分で行く必要があり、雨の日でも来てくださいという説明でした。台所は部屋についていましたが、もし使いたいなら家族が作りに来てください、と言われたりもして、少し不安に感じた点でした。