入居前はどのような状況でしたか?
父が亡くなったのは2020年の5月のことでした。それまでは両親二人で暮らしていましたが、それ以降は母が一人で家に残る形になりました。ただ、完全に一人というわけではなく、敷地内のすぐ前に兄の家があり、私も近くに住んでいたので、日中は私が、夜は兄が母の家に行き、誰かが必ずそばにいるようにしていました。
母は当時91歳で、自分ではもう歩くことができず、常に車椅子での生活でした。トイレも一人では行けず、私たちが抱きかかえてポータブルトイレに乗せてあげる必要がありました。また、嚥下の機能が落ちてきていて、言葉をはっきりと発することが難しくなっていました。ただ、認知症というわけではなく、物忘れも年相応といった感じで、自分の名前を書くこともできましたし、弟や親戚が来ても誰だか分かっていました。季節のことも理解していましたね。
在宅での介護で一番大変だったのは、母の不安がとても強かったことです。私たちが少しでもそばを離れると、例えば台所に行くだけでものすごく不安になるようで、机を叩いたり大きな声を出したりして探すんです。でも、そばに行くと安心してじっとしている。その繰り返しで、片時も目が離せないような状態でした。
私自身も「このままでは自分が倒れてしまう」と感じていましたし、二人で交代しながら見ていても、心身ともに限界に近づいていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
父が亡くなってから数ヶ月、兄と交代で母の介護を続けていましたが、お互いに行ったり来たりの生活がだんだん大変になってきたことが、施設探しを始めた直接のきっかけです。常に見守りが必要な母を、私たちだけで支え続けるのは難しいと感じるようになりました。
探し始めたのは2020年の10月頃だったと思います。まず特別養護老人ホームに申し込みましたが、「3年待ちです」と言われました。ケアマネジャーさんからは、近くに娘や息子がいると、どうしても優先順位が後回しにされてしまうと聞きました。緊急性が高い方から入居が決まっていくので、うちの場合は順番がなかなか回ってこないだろうと。
母は常時介護が必要だったので、サービス付き高齢者向け住宅のようなところは難しく、介護付きの施設でなければなりませんでした。ですが、私たちの住む生駒市内には介護付き有料老人ホームが2つほどしかなく、選択肢は非常に限られていました。結果的に、実際に見学に行ったのは、今回お世話になったホームケア生駒さんだけでした。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
施設にお願いすることを考え始めたとき、一番悩んだのはコロナ禍だったということです。当時は多くの施設で面会が一切できなくなっていたから、そんな状況で母を預けてしまうのは、とてもかわいそうなのではないかという葛藤がありました。ただ、ホームケア生駒さんはその点について柔軟に対応してくださるというお話だったので、それが大きな救いになりましたね。もっと早くお願いしても良かったのかもしれない、という気持ちもありましたが、やはり面会ができないかもしれないという不安は、決断する上での大きな壁でした。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
正直に言うと、初めて見学に伺った時の第一印象は、あまり良くありませんでした。たまたま雨が降っていて、どんよりした日だったせいもあるかもしれませんが、「大丈夫かな」というのが最初の気持ちです。
一番不安に感じたのは、見せていただいたお部屋でした。ちょうど空いているのが最後の一部屋だったそうなのですが、まだ内装を整える前だったようで、ベッドも何もなく、床にカーペットが敷いてあったかどうかも覚えていないくらい、がらんとしたコンクリートの部屋のような印象でした。それを見て、少し「ええっ」と思ってしまいましたね。また、入居されている方々がご高齢の方が多かったこともあり、施設全体が少しどんよりと静かな雰囲気に感じられました。
ただ、スタッフの方々の雰囲気はとても良かったんです。皆さんいい方たちだな、という印象を受けました。