ホームステーション真鶴
に65歳・女性・要介護5で入居中の方へのインタビュー

入居前、パーキンソン病を患う妻は、自宅でデイサービスを利用していました。しかし、デイサービスは日中だけなので、夜間や早朝の対応は私の役目。病状が進行するにつれ、痰の吸引といったケアも必要になっていきました。 それと、以前は薬をもらうためだけに、毎月、私が車椅子を押して病院へ通院していました。処方箋をもらって、薬局へ行って、それを日ごとに区分けして…という手間も全部私がやっていましたね。

妻のパーキンソン病が重くなってきた、というのがきっかけです。具体的には「24時間看護が必要かもしれない」という状況になってきたんですね。特に痰の吸引です。これを自宅で、しかも夜間や早朝も私一人で対応するのは、正直しんどいなと。それで、24時間看護をしてもらえる施設なら安心だなと思って、探し始めました。

施設は何軒か見学に行きました。京都市がやっている「医療院」というところも左京区に2つほど見学に行きましたが、そこは2人部屋だったり、何よりパーキンソン病の複雑な薬の対応が難しい、と2つの施設の担当者両方から言われました。 また、以前にパーキンソン病専門を謳っている施設にも見学をお願いしたことがあります。看護師さんと介護士さんが自宅に面談に来られたのですが、妻の症状を見て「症状が重すぎて、ちょっと受け入れられない」「来てすぐに亡くなられるリスクもある」というようなことを遠回しに言われて、断られてしまったんです。専門と言っていても、受け入れてもらえないことがあるのだと知りました。

入居して、とにかく私の負担が本当に楽になりました。今やることと言えば、週に1～2回、おむつやパッドなどの補充品を届けに行くくらいで、以前のような介護は全くありません。おかげで自分の時間ができ、心にも余裕が生まれましたね。 妻の様子ですが、外出やお散歩も去年までは行っていました。近くの公園へ行き、満開の桜を見たりしたこともありましたね。病状が進行性のものなので、だんだんと重くなってきてしまい今は難しいですが、状態に合わせて個別に対応いただけたのはありがたかったです。 今も、月に1回ほどの頻度でコンサートなどの催し物を開催してくれますし、他にもおはぎを作ったりなど料理を楽しむ会なども企画されているようです。妻はもう食べ物を口から摂るのは難しいのですが、コンサートには参加していて、聴いている間は非常に穏やかな表情をしています。そういう時は痰吸引もほとんどない程度に済んでいますね。

今お世話になっているファミリー・ホスピス京都北山ハウスは、ALSやがんの末期患者さんなど、本当に重い病状の方を大勢受け入れいるんです。ですから、妻のような状態でも全く抵抗なく受け入れてもらえました。 また、神経内科の専門の先生が毎週訪問診療に来てくれると聞き、これも楽になるなと思いました。薬の対応が難しいと言われた経験があったので、専門の先生に診てもらえるのは大きな安心材料でした。

毎週、神経内科の専門医の先生が施設へ訪問診療に来てくださることが、まず大きいです。以前は毎月私が車椅子を押して連れて行っていた大変な通院介助から、解放されました。そして、その訪問医の先生ご自身が「ここの看護師さんは優秀ですよ」とおっしゃっていました。専門の先生からのお墨付きがあるというのは、家族としてこれ以上ない安心感です。実際に難病の方を多く受け入れておられるだけあって、皆さん非常に頼りになります。

家族用のIDカードがあれば24時間いつでも面会に行けるので、自分の都合に合わせて会いに行きやすいのが本当に助かります。駐車場も3カ所しっかりあって、車でのアクセスも便利です。また、施設の周りの環境も非常に良いんです。植物園から5分くらいの場所で、静かな住宅街にありながら自然も感じられます。面会に行くたびに、良い場所にあるなと感じますね。

月に1回ほど開催されるコンサートが、妻も私も楽しみになっています。すごいなと思ったのは、寝たきりで点滴をしているような方でも、スタッフさんがベッドごと会場に連れてきてくれるんです。どんな状態の方にも楽しみを届けようという姿勢が本当に献身的で、頭が下がります。身体の状態が重いからと部屋に閉じこもらせるのではなく、本人が嫌がらなければ参加の機会を作ってくれる。そのおかげで、妻の穏やかな表情を見ることができます。

特にはないです。何も悪いところはあるとは思えません。本当に安心して任せられています。

インタビューに応じてくださったご主人は、非常に理知的で、冷静に複数の施設を比較検討された上で、奥様にとって最善の場所を選ばれたのだということがひしひしと伝わってきました。ご自身の介護負担が劇的に軽くなったことを「めちゃくちゃ楽になりました」と率直にお話しくださった言葉には、それまでのご苦労と、現在の安心感が凝縮されているように感じます。「安心して任せられる」という言葉を何度も繰り返されていたのが印象的でした。この記事が、医療的ケアが必要な方の施設選びの参考となれば幸いです。