入居前はどのような状況でしたか?
母はもともとリウマチはありましたが、それまでは私の家で一緒に暮らしていました。認知症はなく、歩行器を使えば自分で動ける状態でした。
そんな母が突然、糖尿病を発症して入院することになったのが、施設探しを考えるようになった直接のきっかけです。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
入院の結果、母は1日に3回のインスリン注射が欠かせない体になりました。3回注射するということは、3食きちんと食事を摂らなければならないということです。正直なところ、私は料理が得意ではなく、毎日3食、栄養バランスを考えた食事を用意し続けることに大きな不安を感じていました。
病院のソーシャルワーカーさんにも相談したところ、「ご自宅での介護は難しいでしょう。看護師さんがいて、3食の食事もきちんと管理してくれる施設に入ったほうが、お母様にとってもご家族にとっても安心ですよ」とアドバイスを受けました。インスリン注射は打ち忘れるわけにはいきませんし、万が一のことを考えると、専門家にお任せするのが最善だろうと考えるようになりました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
もちろん、すぐに決断できたわけではありません。母自身は「家に帰りたい」と望んでいましたから、その気持ちを思うと胸が痛みました。しかし、私自身も持病を抱えており、もし私が入院でもしたら、母は一人で生活することができません。母は高齢のため、インスリン注射の手順を新しく覚えることも困難でした。
将来的なリスクを考えたとき、母の安全を第一に優先すべきだと判断しました。まさに「泣いて馬謖を斬る」という心境でしたが、これが母にとって一番良い選択なのだと自分に言い聞かせ、施設探しを本格的に始めることにしたのです。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
一番のハードルは「インスリン1日3回打ち」に対応できる施設が非常に少なかったことです。多くの施設は看護師が日勤のみ(9時〜17時)で、朝食時の注射に間に合いません。選択肢がグッと絞られる中で、24時間看護師常駐が必須条件でした。また、築30〜40年の老朽化した施設も見学しましたが、壁紙の剥がれやひび割れが目立ち、せっかくなら母を綺麗な環境に入れてあげたいという思いがありました。