入居前はどのような状況でしたか?
父が脳梗塞で救急搬送されたのが全ての始まりでした。治療を終えてリハビリ病院に転院したのですが、その頃には要介護3の認定を受けていました。認知症の症状も進んでいて、一番ひどいときには娘である私のことも分からなくなってしまうほどでした。
もともと父とは二人で暮らしていましたが、脳梗塞の後遺症で体は車椅子となり、杖も手放せません。とても私一人で自宅で介護できる状態ではなく、これからどうすればいいのか、本当に途方に暮れていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に施設探しを考え始めたのは、リハビリ病院のソーシャルワーカーさんから「入院期間は6ヶ月が上限です」と告げられたことがきっかけでした。自宅での介護は無理だと感じていた私に、ソーシャルワーカーさんは老人ホームへの入居を勧めてくださり、いくつかの施設の資料と一緒に、紹介会社のパンフレットを渡してくれました。
当時の私は老人ホームの知識など全くなく、何から手をつけていいのか分からない状態でした。そのため、ソーシャルワーカーさんに言われるがまま、パンフレットに書かれていた紹介会社さんに連絡し、見学の手配をしてもらうことにしたんです。自分から積極的に探したというよりは、勧められるがままに話が進んでいったという感じでした。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
父を施設に預けることへの罪悪感は、それはもう、ものすごくありました。父も「家に帰りたい」と何度も口にしていましたし、その言葉を聞くたびに胸が締め付けられる思いでした。
あまりに父が帰りたがるので、一昨年の11月には、本気で在宅介護ができないかと考え、地元の地域包括支援センターに相談にも行きました。なんとか父を家に連れて帰ってあげたい一心でしたが、センターの方からは「お一人での介護は無理です」とはっきり言われ…。そこで、もう諦めるしかないんだと、自分に言い聞かせるようにして入居を決めました。父にとっては、本当に申し訳ない決断だったと思っています。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学に伺った際、施設そのものに対する不安は特にありませんでした。入居相談員の方がとても丁寧に、そして詳しく説明してくださいましたし、施設も比較的新しくて綺麗でした。お部屋も車椅子で生活しやすいように動線が確保されていましたし、トイレも室内に備え付けられていて、設備面で気になる点はありませんでした。
ただ、不安がなかったかと言えば嘘になります。それは施設に対するものではなく、もっと根本的な、「これまでずっと自宅で暮らしてきた父を、老人ホームという場所に入れてしまっていいのだろうか」という、かわいそうに思う気持ちでした。施設が立派であればあるほど、なんだか切ない気持ちになったのを覚えています。