退去した理由は、本人が亡くなったことです。
こちらの施設は、一般のマンション形式の棟で生活をしていても、四六時中介護が必要になった段階で、介護棟の個室へ移るという契約の約束になっていました。しかし、本人はその介護棟に移るタイミングをすごく嫌がっていて、行きたくないとずっと拒んでいました。
しかし、度重なる転倒などもあり、施設側からも危ないのでぜひ移っていただきたいというお話を何度も受けるようになりました。最終的に、父が転倒して頭をぶつけて怪我をし、病院に救急搬送されて戻ってきたタイミングで、施設の方から提案がありました。病院から帰ってきた状態を観察するために、まずは2日間ほど専用の療養部屋で様子を見ますが、その後は介護棟の方に移ってほしいというお話でした。父もその時は、生涯の最後の最後は諦めて介護棟に行くと言って、受け入れた様子でした。
ところが、本当に介護棟に行くのが嫌だったのか、その移る予定になっていた前日の夜に、療養部屋で寝ている間にそのまま亡くなってしまいました。結局、本人が嫌がっていた介護棟には一歩も入ることなく逝ってしまったのです。
私たちは皆で、本当に意志が強すぎる人だったね、自分であそこに移るのが嫌だからもういいやと思って旅立ってしまったのではないかと話しています。最後の1、2泊だけ退院後の療養部屋で過ごすことにはなりましたが、本人の望み通り、最後までマンション形式の生活の質のまま生涯を終えることができたため、結果として本人は大満足だったのではないかと思っております。
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