入居前はどのような状況でしたか?
父は82歳で、施設に入る前は一人で暮らしていました。ある日、家で倒れて救急車で運ばれ、そのまま入院することに。入院中に初期の膀胱がんが見つかり手術をしましたが、幸いにも無事に終わりました。ただ、この入院をきっかけに少し認知症の症状が出始め、物忘れをしたり、退院後は車椅子を使ったりという状況でした。
当時、私の家は子ども2人がちょうど受験期で、私自身も制服の準備などでとても忙しくしていました。父のことは心配でしたが、自宅に引き取って介護をするには家の広さも時間的な余裕もなく、どうすれば良いか途方に暮れていたのを覚えています。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
父が退院することになり、今後の生活をどうするかという問題に直面しました。手術は成功したとはいえ、一度倒れた父をまた一人で暮らさせるわけにはいきません。かといって、子どもたちの受験という大事な時期に、私がつきっきりで介護をすることも物理的に難しい状況でした。父の安全を第一に考えた結果、専門の方々にお世話になるのが最善だろうと判断し、施設探しを始めました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
施設探しを始めたものの、父自身は「俺は家がいいんだ」と何度も言っていました。本人が望んでいない施設への入居を決めることには、やはり大きな罪悪感がありました。しかし、父の安全を守るため、そして私たちの生活を守るためには、これ以外の選択肢はないのだと自分に言い聞かせるしかありませんでした。父の気持ちを思うと、本当に心苦しい決断でした。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学に伺ったのはこの施設が初めてだったので、何もかもが手探りの状態でした。父は昔から気難しいところがあり、人や場所との相性が合わないと全くダメになってしまう性格です。そのため、「ここの雰囲気に馴染めるだろうか」「父は気に入ってくれるだろうか」という不安が一番大きかったです。施設そのものというよりは、父がどう感じるかという点ばかりが気になっていました。