イリーゼ岡谷
に92歳・女性・要介護1で入居中の方へのインタビュー

母は一人暮らしだったのですが、家が古かったこともあって、いろいろと心配が絶えませんでした。冬場に水道管が破裂して「洗面所が池になってる」と連絡が来たり、「電気がつかない」と夜中に呼ばれたり。 あとは、腰やらいろいろなところが痛むので、「医者に行きたい」というのも、しょっちゅうでしたね。その度に私が対応していたので、なかなか大変でした。

母が入院することになり、その退院の時期に合わせて本格的に入居先を探し始めた、という形です。

ええ、ありますよね。本当はうちで見てあげられれば一番良いんですけど、我が家は主人の母が同居しているので、どうしても難しくて。 かといって、母一人で暮らすのはもう無理かなっていうところがあったんで…。だからもう、「しょうがないかな、ごめんね」っていう感じでした。

入居してからは、夜中に呼び出されることがなくなり、私自身は本当に安心して過ごせています。夜間を見守ってくださる人がいるってだけでも、やっぱり違いますよね。本当に、夜安心というか…よかったです。 母自身は、入居してすぐの頃に何人かお友達ができたみたいで、午後2時に集まってお話をする「二時会」なるものを楽しんでいたようです。 もう高齢なので、やっぱり少し疲れるとすぐ眠っちゃうみたいで、私が行くとよく昼寝をしています。最初のうちは「いつ来るの？」なんて言ってたんですけど、最近は全然言わなくなったので、まあ、施設に慣れてくれたのかなと思っています。 スタッフさんが時々変わったり、「もしかして人手不足なのかな？」と感じる時もあるようで、そういう時に意見がなかなか通じない、みたいなことを母が言うこともあります。でも、それはね、どこへ行っても一緒だからって母にも言ってるんです。 レクリエーションについては、本人は「あんまり何もない」なんて言うんですけど、お部屋に行くと塗り絵を色付けしたものが貼ってくださったりしているので、色々やっているんだと思います。歌を歌ったり、体操をしたり。以前、他の入居者の方が「レクリエーションを増やしてほしい」と要望してくださったみたいで、施設の方も「コロナで色々できなかったけど、だんだんやっていきたい」と話してくださっていて、少しずつ内容も変わってきているのかもしれません。 あと、お楽しみで「デザートの会」というのもあるみたいです。ケーキとコーヒーが出たりするそうで、別でお金はかかるんですけど、そういうイベントもやってくださっているのは、ありがたいなと思います。

母は食事にお醤油をかけて食べたりしているんですが、「そんなことしたら怒られる」なんて言うので、施設の方に「もう寿命が短くなっても何でもいいんで、本人の食べたいようにさせてください」って言ったんです。そうしたら、「いいですよ」って言ってくださって。病院みたいにそこまで厳しくしなくても大丈夫っていう感じで、要望を聞いてくれるところがいいなと思います。

面会は、いつ行っても「いいですよー」って気持ちよく迎えてくれます。外出の時も、事前に言っておけば「いってらっしゃい」っていう感じで対応してくださるので、気兼ねがいりません。あと、駐車場が広くて停めやすいのも、車で行く私にとってはすごく助かっています。

母は「聞いてもらえない」とか色々言っているんですけど、よくよく聞いてみると、入居者同士で何かあった時にはご飯の時に席を離してくれたり、対応しているみたいなんです。「合わないな人のところは行かなくていいよ」みたいにアドバイスなども言ってくださっているので、多分、ちゃんとやってくださってるんだと思います。

やっぱり食事のことでしょうか。母に言わせると、「ご飯とお味噌汁は温かいけれど、おかずが冷めていたり味が薄かったりする」と、あまり満足がいっていないみたいなんです。年寄りなので、今まで家で食べていたような、しっかりした味付けが良いんでしょうね。ただ、私が献立表を見たりすると、「結構いいもの出てるじゃない」って思うんですけどね。 あとは、やはり金額的なところです。要介護1で入れる施設となると、どうしても費用が高めの有料老人ホームに限られてくるのが現実です。年金だけで賄えるような選択肢がもっと増えれば、より多くの方が安心して施設入居を考えられるのにな、と思います。

「ありますよね」と、誰もが抱くであろう罪悪感を素直に口にされながらも、お母様とご自身の生活を守るために現実的な選択をされた様子が伝わってくるお話でした。「すごい気が楽です」という言葉には、これまでのご苦労と、今の心からの安堵が凝縮されているように感じました。施設への要望も率直に語りつつ、スタッフの方への信頼と感謝が感じられる点が印象的です。ご自身とご家族にとっての「ちょうどいい距離感」を見つけられた、一つの貴重な体験談だと思います。