グループホームみんなの家・東所沢
に73歳・男性・要介護2で入居中の方へのインタビュー

父の施設入居を考え始めたのは、今から10年以上前のことです。当時70代前半だった父は認知症が進み、精神科の病院に入院していました。しかし、病院からも退院を促され、その後3ヶ月ほどは様々な施設を転々とすることになり、正直なところ、当時は途方に暮れていました。 自宅に戻ってきてからも、夜中に徘徊することが日常茶飯事で、警察沙汰になってしまったことも一度や二度ではありません。父自身は体が元気だったので、そのぶん行動範囲も広く、家族としては気の休まる時がありませんでした。私自身も「もう限界だ」と感じていた時、地域包括支援センターに相談したところ、「良い施設が見つかりましたよ」と紹介していただいたのが、こちらのグループホームでした。 父を施設に入れることについて、大きな葛藤がなかったと言えば嘘になります。ただ、それ以上に在宅での介護が限界に達していたこと、そして父自身が長年の入院生活に慣れていたためか、施設への入居に強い拒否反応を示さなかったことが、私たち家族にとっては大きな救いでした。最初の病院に入る時は大変でしたから、それに比べれば、とてもスムーズな移行だったと思います。

父の入居先を探すにあたって、一番の不安は「認知症の激しい父を、本当に受け入れてもらえるのか」ということでした。自宅では夜通し徘徊し、警察のお世話になることもあった父です。精神科病院からも退院を迫られ、まさに後がない状況の中で、「施設でもたらい回しにされたらどうしよう」「父がまた拒否反応を起こして暴れたりしないだろうか」という不安が常に胸にありました。 また、私自身も脳梗塞を患っており、以前のように父を支えきれない無力感や、施設に預けることへの申し訳なさのようなものも入り混じっていました。

その不安を払拭してくれたのが、最初に見学・入居した以前の施設でした。一歩足を踏み入れた瞬間の、こじんまりとした家庭的な雰囲気に安心しました。何より当時のホーム長さんがとても親身な方で、私たちの切実な状況をすべて受け止めてくださったことで、心の底からホッとしたのを覚えています。実際、入居後の父はスムーズに施設に馴染んでくれました。 ただ、その安心感が今も続いているかと言われると、正直なところ複雑な心境です。施設の閉鎖に伴い、今の「みんなの家・東所沢」へ引っ越してからは、建物こそ新しく綺麗になりましたが、スタッフのメンバーがガラリと変わってしまいました。かつての温かかった対応に比べると、今の職員の方々の対応には少し距離を感じてしまうというか、微妙な変化を感じています。 緊急時の連携などで当初の説明と違う対応を迫られることもあり、あの見学時に抱いた「ここなら100%安心だ」という確信が、少しずつ揺らいでいるのが今の正直な気持ちです。

実は、最初に入居していた施設が閉鎖となり、現在の施設へ移転することになりました。移転は私たち家族にとっても父にとっても不安な出来事でしたが、移転先が新築のとてもきれいな建物だったのは幸いでした。父もこの新しい環境が気に入っているようで、今ではすっかり馴染んでいます。長く過ごす場所だからこそ、本人が快適だと感じられる環境であることは、家族としても非常に嬉しく、安心できるポイントです。

この施設にお世話になって一番良かったと感じるのは、父の徘徊の心配から解放されたことです。在宅で介護をしていた頃は、夜中に家を抜け出してしまうことが頻繁にあり、その度に警察のお世話になっていました。家族は心身ともに疲れ果てていましたが、施設に入居してからは、24時間体制でスタッフの方々が見守ってくださるため、そうした心配が一切なくなりました。夜、安心して眠れるという当たり前の日常を取り戻せたことは、私たち家族にとって何より大きな救いでした。

施設探しで何軒も回る中、最初に見学した同系列の施設で感じた「こじんまりとした温かさ」が、入居を決める決定打となりました。大規模な施設にはない、スタッフの目が隅々まで行き届く安心感があり、当時のホーム長の人柄の良さも相まって、「ここなら父を任せられる」と確信できたことが、現在の「みんなの家・東所沢」での生活につながる原点となっています。

入居してから想定外だったのは、緊急時の対応についてです。入居前の説明では「万が一、救急車を呼ぶような事態になっても、スタッフが付き添いますのでご安心ください」と聞いていました。私たち家族もその言葉を信じて、安心して父をお任せしていたのです。 しかし、ある日「窒息の疑いで救急車を呼びました。誰か一緒に乗ってください」と突然連絡がありました。あいにく私は子どもの学校の用事と重なってしまい、どうしても駆けつけることができませんでした。その旨を伝えると、「誰か来てもらわないと困ります」と言われ、入居時の話と違うことに正直、戸惑いました。結局、急遽妹が駆けつけて事なきを得ましたが、もし妹の都合もつかなかったらどうなっていたのだろうかと、今でも不安に感じることがあります。

正直にお話しすると、最近はスタッフの方々の入れ替わりがあったせいか、以前のような家庭的な雰囲気が少し薄れてしまったように感じています。面会に伺った際のホーム長さんの対応など、少し気になる点が出てきたのは事実です。また、緊急時の対応については、入居時の説明と異なっていたため、明確なルールやどこまで施設側で対応していただけるのかを、改めてご家族に説明する機会を設けていただけると、私たちも安心できるのではないかと思います。 父の介護度も上がり、この先、看取りまでを考えた時に、今の体制で本当にお任せして良いのかという不安が生まれ、ケアマネージャーさんに相談し、別の施設への移転も考え始めています。

お父様への深い愛情と、施設に対する真摯な思いを率直にお話しくださいました。入居当初の安心感や感謝の気持ちと、現在の運営体制への懸念や不安。その両方を包み隠さず語ってくださったことで、これから施設を探す方々にとって、非常に参考になるリアルなお話しが伺えました。この度は貴重なお話をありがとうございました。