入居前はどのような状況でしたか?
父は入居当時、81歳か82歳くらいでした。もともとエレベーターのない団地の5階に住んでおり、だんだんと足腰が弱ってきて、階段の昇り降りが大変になってきている状況でした。歩くことはできましたが、長時間は難しく、施設では歩行器を借りていたようです。持病として糖尿病があり、インスリン注射が欠かせませんでした。
また、一番心配だったのが、過去に2度、しりもちをついただけでくも膜下出血を起こしていたことです。それ以来、母は父がまた倒れるのではないかと常に気を張っている状態で、少しノイローゼ気味になってしまっていました。そんな母の様子を見ているのもつらく、家族みんなで「このままではいけないね」と話し合っていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に施設探しを始めたのは、やはり父の身体的な衰えと、それに伴う母の精神的な負担が大きくなったことがきっかけです。特に、くも膜下出血を繰り返してからは、母が「またいつかしりもちをついてくも膜下出血を起こしてしまうのではないか」という不安にかられてしまい、普通の生活を送るのも難しいほどになっていました。足腰の状態だけを考えれば、もう少し自宅での生活も続けられたかもしれませんが、万が一のことがあった時に、小柄な母だけでは支えきれないという現実もありました。
いつか階段の昇り降りが完全にできなくなったら施設へ、というのは家族の中での共通認識でしたが、母の心労を考え、少し早めに探し始めることにしたんです。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
父に施設への入居を伝えるとき、本心では家を離れたくないだろうな、という気持ちはありました。直接「嫌だ」とは言いませんでしたが、きっと寂しい思いもあったと思います。ただ、私たち子どもの家で同居するとなると、介護の負担も大きくなりますし、何より父自身が「子どもに迷惑はかけたくない」という気持ちを強く持っていました。
私たちも、母も、そして父も、お互いを思いやるからこその決断だったと感じています。家族みんなで話し合って決めたことなので、父も納得して入居してくれたのだと思っています。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
施設の見学に行った時、特に大きな不安や気になる点はありませんでした。ただ、ちょうどコロナ禍が始まったばかりの頃だったので、施設の中をじっくりと見て回ることはできず、本当に「パパっと」という感じでした。そのため、お食事の様子がどうだとか、細かい部分までは正直なところ分かりませんでした。初めての施設見学で比べる対象もなかったので、特に悪い印象はなかった、というのが率直な感想です。スタッフの方も丁寧に対応してくださいました。