入居前はどのような状況でしたか?
入居する前、母は一人暮らしをしていました。年齢も80歳を過ぎており、私自身も週に1回ほど実家に様子を見に行き、買い物に付き添ったりしていました。また、介護保険のサービスを利用して、ヘルパーさんに週2回ほど自宅へ来てもらい、お掃除や買い物を手伝ってもらうような生活を送っていました。
日中はある程度サポートの手があったのですが、やはり一番心配だったのは夜間の過ごし方でした。夜は完全に一人になってしまいます。実際に母が夜中に体調を崩してしまい、私のところに電話がかかってきて病院へ連れて行くということが1、2回ありました。私の自宅から実家までは車を使わなければならない距離で、歩いてすぐに行ける場所ではありませんでした。電話をもらって急いで駆けつけようとしても、どうしても時間がかかってしまいます。何か急な体調の変化があったときに、すぐに人の目がないという環境に対して、母自身も日に日に不安を強く感じるようになっていました。私としても、遠く離れた場所で母が一人で夜を過ごしていることへの不安や、いつ電話が鳴るかわからないという心配が常にありました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
施設探しを始めた直接のきっかけは、母の一人暮らしに対する不安が限界に近づいてきたことでした。
夜中に体調を崩した際に、車で駆けつけるまでに時間がかかってしまうことや、日常的にすぐそばに誰の目もないという状況に対して、母本人が一番不安を感じていました。母自身の中でも「このまま一人で暮らすのは不安だから、どこか安心できる施設に入りたい」という希望が次第に強くなってきたため、「それなら2人で一緒に探そうか」と話し合い、施設探しを本格的に始めることになりました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
親を施設にお願いすることに対する不安や抵抗感については、母も私も多少は心の中にあったと思います。ただ、最近の介護施設は昔のイメージとは違って、明るくて綺麗な建物が増えているという印象を持っていましたし、母本人もそうした最近の施設の様子を何となく把握していたようでした。
また、母の周囲のお友達でも、一人暮らしになったのをきっかけに施設へ入居された方が何人かいらっしゃり、そうしたお話を母自身も事前に耳にしていたようです。そのため、施設に入ること自体に対して強い抵抗感や拒絶のようなものは母にはあまりなく、これからの安心した生活のために前向きに考えてくれていたように思います。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
施設を探すにあたっては、できるだけ本人の自由度が高く、食事がお弁当のようなものではなく施設内で手作りされた美味しいところ、そして外出や外泊に厳しい制限がないところを希望していました。一人暮らしのときも私の家に頻繁に泊まりに来たり、一緒に出かけたりしていたので、施設に入ったことでそうした生活が急になくなり、閉塞感を覚えてしまったら可哀想だという懸念があったからです。
担当の方に3軒ほど候補をピックアップしてもらい見学に行きましたが、他の施設を見学した際に少し気になった点がありました。それは、すでに入居されている方々の中で気の合う人同士のグループがしっかり出来上がっているような様子が見受けられたことです。
お食事の席などで既存のグループが固まっている雰囲気を感じたとき、「ここに母がポンと一人で新しく入っていった場合、うまく馴染めるだろうか」「輪の中に入りづらくて孤立してしまうのではないか」という不安を少し覚えました。