入居前はどのような状況でしたか?
母は93歳で、施設に入る前は一人で暮らしていました。
もともと外出が好きで活発な人でしたが、年齢とともに足腰が弱くなり、杖や歩行器がないと歩くのが難しい状態になっていました。
一人暮らしで一番心配だったのは、何かあった時に誰も気づいてあげられないことでした。
実際に、家の中で転んで頭を打ち、入院したことがあったのです。
その時も、偶然訪ねてきたヘルパーさんや、デイサービスのお迎えの方が気づいてくれたから大事に至らなかったものの、「もし誰にも見つけてもらえなかったらどうなっていたんだろう」と考えると、本当に胸が締め付けられるような思いでした。
仕事で家を空けることも多い私にとって、母を一人にしておくことへの不安は日に日に大きくなっていきました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に施設探しを始めたのは、やはり母が家で転倒し、入院したことが直接のきっかけです。
幸いにも発見が早く、命に別状はありませんでしたが、この一件で「もう一人で暮らさせるのは限界だ」と痛感しました。
日中はヘルパーさんやデイサービスを利用していましたが、夜間や早朝は完全に一人です。
もしまた同じようなことが起きたら、という不安が常に頭から離れませんでした。
母の安全を第一に考えたとき、24時間誰かの目がある環境に移ることが最善の選択だと考え、施設への入居を決意するに至りました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
正直なところ、母を施設に入れることには、大きな葛藤と罪悪感がありました。
「本当は自分が一緒に暮らしてあげるのが一番良いのだろうな」という気持ちは、ずっとありました。
しかし、私には妻がおらず、仕事で日中は家を空けなければなりません。
帰りも決して早くはなく、三度の食事をきちんと用意してあげることもままならない状況でした。
泊まりがけの出張も頻繁にあり、その間、母を一人にしてしまうことになります。
また、毎日お風呂に入れてあげるなど、身体的な介護も私一人では難しいと感じていました。
そうした現実を考えると、専門の方々にお任せした方が、母にとっても清潔で安心な生活が送れるのではないか。
そんな風に自分に言い聞かせながらも、どこか後ろめたい気持ちを抱えながらの決断でした。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学に伺った際、施設の方から様々な説明を受けましたが、やはり不安はありました。
もちろん、どこの施設も良い点を中心に説明してくださいます。
パンフレットも綺麗ですし、お話もとても丁寧です。
だからこそ、「本当にこの説明通りなのだろうか」「何か隠していることはないだろうか」と、少し疑心暗鬼になってしまう自分がいました。
大切な母を預けるわけですから、どうしても慎重になってしまったのだと思います。