入居前はどのような状況でしたか?
父はもともと、母が1年ほど前に亡くなってから、浜北の実家で一人で暮らしていました。入居を検討し始めた当時は73歳。過去に脳梗塞を患った後遺症で左半身に麻痺が残っており、杖を使って生活していました。
一人暮らしの父のことは常に心配していましたが、特に問題なく過ごせていると思っていました。しかし、だんだんと転ぶ回数が増えてきて、いつか大きな怪我につながるのではないかと、漠然とした不安を抱えるようになっていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に施設探しを始めたのは、父が自宅で転倒し、腰を打って動けなくなったことがきっかけでした。私が実家を訪ねたときにその状況を発見し、すぐに救急車を呼んで病院に搬送しました。
幸い命に別状はなかったものの、病院にはリハビリを含めて3ヶ月しかいることができず、完全に元の状態に戻ることはありませんでした。このまま一人暮らしを続けさせるのは難しい。そう感じ、病院の担当の方に相談したところ、介護施設の利用を勧められ、いくつかの施設を見学することになりました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
父は当初、施設に入ることに強い抵抗感を示していました。「嫌だ」と怒り出すこともあり、住み慣れた家を離れたくないという気持ちは痛いほどわかりました。
しかし、父は無理に車を運転しようとすることもあり、免許も返納してもらいました。このままでは、父自身がまた大怪我をするかもしれないし、万が一、誰かを傷つけてしまうような事故を起こしたら取り返しがつきません。私には当時、小学生の息子がおり、自分の子供に迷惑はかけたくないという思いも強くありました。
「親父には悪いけど、入ってくれないか」と、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、父の安全と、家族みんなの未来を守るためには必要な決断だと、自分に言い聞かせるようにして説得を続けました。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学の際に一番不安だったのは、「父を本当に大切に扱ってくれるだろうか」という点でした。当時、ニュースなどで介護施設での不適切な対応について見聞きすることがあったため、もし父が同じような目に遭ったらどうしようかと、そのことばかりが頭をよぎりました。