入居前はどのような状況でしたか?
母が82歳の頃でした。
当時、要介護認定は1でしたが、私たちの実感としては、もっと手がかかる状態だったように思います。
認知症の症状もあり、話していると時間や場所の感覚がずれてしまうこともありました。
持病として糖尿病も抱えていました。
入居前は私たち家族と自宅で暮らし、杖を使いながらも自分の足で歩けていました。
家では長年続けてきたお花の生産を手伝ってくれていたのですが、認知症の影響で、売り物になるはずの花を駄目にしてしまうことが増えてきたんです。
本人はまだまだ現役で仕事ができるつもりでいるのに、現実にはうまくいかない。
そのもどかしさからか、イライラすることも多くなり、私たち家族もどう対応すればいいのか、精神的にかなり参っていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
施設探しを始めたのは、母の認知症の症状が進み、私たちの仕事や生活への影響が無視できないほど大きくなったことがきっかけです。
特に、家業であるお花の生産に支障が出てきたのは深刻でした。
母自身も、やりたいのにうまくできないという葛藤を抱えていて、その姿を見るのも辛かったです。
このままでは共倒れになってしまうと感じ、「なるべく早く入居できて、自宅から通いやすい場所」という条件で施設を探し始めました。
自宅での介護には、もう限界を感じていたんです。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
母を施設に預けることへの罪悪感は、もちろんありました。
特に父は、長年連れ添った妻を預けることに、一番大きな抵抗を感じていたと思います。
ですが、正直に言うと、施設に入ってもらって「気楽になった」という気持ちもあったんです。
四六時中、母の言動に気を張り、仕事にも集中できない毎日から解放されるという安堵感。
罪悪感と安堵感がないまぜになった、とても複雑な心境でした。
でも、家族みんなが心穏やかに過ごすためには、プロの手を借りるしかない。
そう自分たちに言い聞かせて、入居を決断しました。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学の際に、特に大きな不安を感じることはありませんでした。
スタッフの方も明るい雰囲気でしたし、施設全体がガランとしているよりは、少し賑やかな方が母も寂しくないだろうと感じました。
ただ、一つ気になったのはお部屋の狭さです。
正直なところ、病院の相部屋をカーテンで仕切ったスペースより、少し広いくらいかなという印象でした。