入居前はどのような状況でしたか?
祖母は80代前半で、祖父が先に亡くなってからは一人で暮らしていました。当時はまだ自分の足で歩けていましたが、要介護2の認定を受けており、認知症の症状も少しずつ見られるようになっていました。徘徊などはありませんでしたが、同じ話を短い時間のうちに何度も繰り返すことが増えてきていました。
何より家族が心配していたのは、祖母が高血圧の持病を抱えていたことです。たまに、ふっと意識が遠のくことがあったのです。幸い、大事には至っていませんでしたが、もし誰もいない時に意識を失って倒れてしまったら……と考えると、いつも胸がざわつくような気持ちでした。一人暮らしをさせていることへの不安は、日に日に大きくなっていったのを覚えています。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に施設探しを考え始めたのは、かかりつけのお医者様からの言葉がきっかけでした。「認知症もありますし、一人でいる時に意識がなくなると命に関わります。専門の施設に入居されるか、ご家族が一緒に暮らして常に見守るようにしてください」。その言葉は、私たちの不安が現実のものになりかねないという事実を、改めて突きつけてきました。
この一言をきっかけに、母や叔母が中心となって施設探しを始めました。それは祖母が入居することになる、半年前くらいのことだったと思います。祖母の安全を第一に考えたとき、専門のスタッフの方々に見守っていただける施設への入居が最善の選択肢だと感じ、私たちは本格的に動き出すことを決めたのです。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
正直なところ、祖母を施設に入れるということ自体に、大きな不安がありました。本当にここで良いのだろうか、祖母は寂しい思いをしないだろうか、という気持ちが常に心のどこかにありました。
入居してしばらくした頃、祖母は面会に行くと「家に帰りたい」と口にすることがありました。もちろん、施設の対応に何か不満があったわけではないのだと思います。長年住み慣れた、思い出の詰まった自分の家に帰りたいという、ごく自然な気持ちだったのでしょう。それでも、その言葉を聞くたびに、私たちは少し胸が締め付けられるような思いがしました。家族として、これで本当に良かったのかという葛藤は、すぐには消えませんでした。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学には一度だけ同行しました。正直に言うと、見学時に特に不安や気になる点はありませんでした。自分が漠然と抱いていた老人ホームのイメージ通りの場所、という印象でした。
よく他の方の体験談で耳にするような、食事が口に合わなかったり、共有スペースの設備が気になったり、といったこともありませんでした。食事の味が少し薄めに感じられたとしても、健康を管理されている入居者の方々のためには当然のことだろうと、ごく自然に受け止めることができました。スタッフの方々の対応も丁寧で、ネガティブな印象は全く受けませんでした。