入居前の状況
もともと母は、一人で暮らしながらデイサービスに通う毎日を送っていました。そこがとても良いデイサービスだったようで、母自身も気に入っていたんです。ですが、少しずつ母の認知症が進んできました。
ある時から、徘徊がみられるようになってしまって。「これは危ない」。そう直感しました。当時の私では、もう手に負えない状況になっていたんです。
施設探しを始めたきっかけ
以前入居していた施設が閉鎖になり、新しい施設を探し始めたのですが、そこで直面したのが費用の壁でした。何よりもまず、「払い続けられる金額であること」が絶対条件でした。
その上で、できれば母が気に入っていたデイサービスに通えるような環境を、と考えていました。しかし、「施設に入りながらデイサービスに通う」という希望が、これほど経済的に難しいとは思いませんでした。
入居決断時の葛藤・罪悪感
施設への入居を考え始めた時、正直なところ、私自身、気持ちが乗りませんでした。父はもう他界していますから、本当は母と二人で一緒に暮らせれば、それが一番良かったのかもしれません。でも、経済的な事情がそれを許してくれませんでした。
もちろん、施設に入れることで介護の負担から手が離れるという安堵感も、なかったわけではありません。でも、それでいいんだろうか、という葛藤も常にありました。母本人も、施設に入ることは進んで望んではいませんでした。それでも、母の安全を第一に考えると、もうこの選択肢しかなかったんです。