入居前はどのような状況でしたか?
父が施設に入居したのは90歳くらいの時でした。昭和6年生まれで、診断としては軽度の認知症がありましたが、症状は同じことを繰り返す程度で、私のことも認識できていましたし、ひどい物忘れなどはありませんでした。ただ、少し無気力になったり、物事への関心が薄れたりする様子は見られました。体は元気で、入居するまでは自分の足で歩いていました。
当時は、車椅子を使う母と父の二人暮らしで、私は実家とは別に暮らしていましたが、両親のサポートのために毎日通っていました。通院の付き添いや食事の支度など、できる限りのことはしていたつもりです。しかし、二人の世話を一人で続けるうちに、だんだんと心身ともに余裕がなくなり、「いっぱいいっぱいだ」と感じるようになっていきました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
施設探しを始めた直接のきっかけは、在宅での介護に限界を感じたことでした。特に母が車椅子だったこともあり、二人の生活を一人で支えるのが難しくなったのです。毎日通ってサポートはしていましたが、精神的にも体力的にも、これ以上は無理だと感じた時に、本格的に施設への入居を考え始めました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
正直なところ、父は施設での生活をあまり楽しんでいるようには見えませんでした。男の人ということもありますし、90歳を過ぎてから新しい環境や集団生活に馴染むのは、やはり難しかったのだと思います。面会に行っても「帰りたい」とよく言っていましたし、その姿を見ていると、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。時には「早く楽にしてあげたい」とさえ思ったこともあります。
もちろん、施設の方が何か悪いわけではないと頭では分かっていました。それでも、本人が望まない場所にいさせているという現実は、家族として常に心苦しかったです。本当に「仕方なく」「どうしても」という思いでお願いするしかなく、理想と現実の間で葛藤する日々でした。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
施設の見学に何件か行きましたが、この施設に関しては、見学時に特に不安やネガティブな印象を抱くことはありませんでした。むしろ、施設全体が明るい雰囲気で、良い印象を受けたことを覚えています。