入居前の状況
もともと母は自宅で、ヘルパーさんに来ていただいたり、デイサービスに通ったりしながら生活していました。しかし、私が仕事で日中家を空ける時間が長く、どうしても母が一人きりになってしまう時間がありました。
施設探しを始めたきっかけ
年齢を重ね、足腰が弱っていた母にとって、その一人の時間はとても危険なものでした。実際に、家の中で転んで骨折してしまったり、頭を打ったりということが続いたんです。「これ以上、母を一人で家にいさせるわけにはいかない」。そう強く感じたのが、施設探しを始めたきっかけです。
認知症も少し始まってはいましたが、まだ自分の意思を伝えられる状態でした。だからこそ、本人の「家にいたい」という気持ちと、安全な環境を確保したい私の気持ちとの間で、正直なところ葛藤はありました。
でも、自宅での生活は、冷蔵庫を開けようとするだけで転んでしまうような状況でした。24時間誰かがそばに付き添っていない限り、いつまた大きな怪我をするか分からない。その不安が常にありました。母の命を守るためには、プロの力を借りるしかない。そう覚悟を決め、本格的に施設を探し始めました。
見学時の施設に対する不安
いくつかの施設を検討する中で、最終的にこの施設さんにお世話になることを決めました。見学に伺ったときの印象が、とにかく素晴らしかったんです。
施設は棟が分かれていて、母が入居したのは新しい棟の方でした。これまで何ヶ所か他の施設も見学しましたが、比べ物にならないくらい建物全体が綺麗で、清潔感がありました。特に、毎日皆さんが集まる食堂が隅々まで手入れされていて、「ここなら気持ちよく過ごしてもらえるな」と直感的に感じました。
そして何より、見学の際に案内してくださった施設長さんとケアマネージャーさんの人柄が、大きな決め手になりました。入居に関する手続きや料金体系など、複雑で分かりにくい部分も、一つひとつ丁寧に、こちらが理解できるまで噛み砕いて説明してくださいました。どこか冷たい感じや事務的な対応をされる施設もある中で、お二人は本当に優しく、親身になって話を聞いてくださったんです。この方たちなら、大切な母を安心してお任せできる。そう心から思えました。