ココファン坂戸弐番館
に79歳・男性・要支援2で入居中の方へのインタビュー

母が亡くなってから10年くらい、父はずっと一人で暮らしていました。もともと心臓に持病があったんですけど、カテーテルの手術をして。成功はしたんですが治りが遅くて、日常生活に不安が出てきてしまったみたいなんです。それでうつっぽい症状になってしまって。食事の支度とか、洗濯や掃除とか、身の回りのことが「やるのがもう億劫になっちゃった」と言っていて。多分それがうつの症状だったんだと思います。

父本人の口から「一人でいるのは自分が心配」という言葉が出たのがきっかけですね。うつっぽくなって、いろいろなことが億劫になってきてしまって。これはもう、誰かが見守ってくれるようなところがいいかな、と。私も同居は難しかったので、すぐに施設を探し始めました。本当に症状が出てきてからすぐですね。「すぐやった方がいいな」と思ったので。探し始めてから入居までは2ヶ月くらいだったと思います。

父を一人にさせておく方が心配だ、という気持ちの方が強かったので。「誰かしら見守りっていうか人がいるようなところに早く行った方がいいな」っていう気持ちが強かったです。なので、なるべく早く探して、早めにっていう感じでしたね。

最初、1軒だけ見学に行ったのですが、そこは私もよく調べずに行ってしまって。父は当時「要支援」だったんですけど、要支援の方向けじゃないところに行ってしまったんです。それで、要支援の人でも入れるところを調べ直して、次に今の施設に見学に行きました。

入居して、父のうつ状態が劇的に治ったわけではないんです。今も人をあまり寄せ付けないようなのはそのままで、ほとんど部屋で過ごしてますね。デイサービスの見学も2回くらい行ってみたんですけど、本人が「行きたくない」と。やっぱり、人がワーッといるようなところはダメみたいで。 ただ、スタッフさんの中には結構おしゃべりしていただいている方もいるみたいなんです。私もその方にはいろいろ相談させてもらってて。あとは訪問看護とか訪問リハビリも利用しているので、そういう方と話したりはしているみたいですね。なので、家で一人でいるよりはいいんじゃないかな、という感じです。食事も、最初は味が薄いとか言って、持ち込んだ調味料などで調整してましたけど、最近は慣れて調味料などは使わずに3食しっかりと食べてるみたいです。

行ってみたら、初めの印象からすごく良くて。「ここはいいな」って感じで思いましたね。見学の時に対応してくれた事務の方なのかな、いつもいらっしゃる方なんですけど、その方がすごく良く対応していただいて。それが決め手の一つになりました。

見学に行った時の最初の印象も良かったですし、入居した後も、スタッフの皆さんはすごく良くしていただいています。父にうつっぽい症状があることも相談したら、「じゃあ、こうやってやってみましょうか」みたいに、いろいろ提案してもらえたり。 そういう面で、すごく親身になってやってもらっているな、という感じがしますね。アットホームというか。私もスタッフの方にはすごく色々相談させてもらっていて、助かっています。

父は要支援で入居したんですけど、途中で状態が変わって今は要介護2になったんです。それでも、介護保険を使って掃除とか洗濯、お風呂の介助とかをヘルパーさんにお願いできるようになったので、そこは大丈夫でした。 あと、入居後に尿カテーテルを着けることになって。初めのうちは、月に1回カテーテルの交換で病院に連れて行かなきゃいけなかったんですけど、半年くらい前から訪問医療の先生に来てもらえることになったんです。それで今は、先生に施設まで来てもらって交換してもらっています。 月に1回でも、連れて行くのは意外と大変だったので。今は外部の病院に連れて行くことはなくなったので、そこはすごく助かりましたね。

父は、デイサービスみたいに人がたくさんいるところには行きたがらないんですよね。なので、無理にレクリエーションに参加しなくてもいい、サ高住みたいなスタイルが合っていたのかなと思います。 ほとんど部屋で過ごしていますけど、本人のペースでいられるのがいいのかなと。食事も、最初は自分で調味料を持っていって調整したりできましたし、面会も自由に行けますしね。 見守りはしっかりしてもらえて、でも自分のペースで過ごせる。父には、こういう自由な感じが合っていたんだなと思います。

サ高住なので、施設の中でのレクリエーションとかリハビリみたいなものが、なかなかないんですよね。なので、どうしても部屋で過ごす感じになっちゃう。もし施設の中で気軽にできるようなものがあれば、部屋から出てみようかな、というきっかけにはなったかもしれないな、とは思いましたね。うちの父の状況だと、多分あっても「行かない」ってなったかもしれないですけど。そういうのがあれば良かったかな、と思うのはそのくらいですね。

お父様の「一人でいるのが心配だ」という一言をきっかけに、ご本人の性格や状況を冷静に見つめ、最適な環境を模索されたご様子が非常に印象的でした。施設に入居したからといって、誰もが劇的に元気になるわけではない、という現実も正直にお話しいただき、大変参考になりました。しかし、劇的な変化はなくとも、専門家やスタッフの見守りの中で、お父様らしい穏やかな日々が流れていること。それがご家族にとって何よりの安心に繋がっているのだと、お話から深く感じました。貴重なお話をありがとうございました。