入居前はどのような状況でしたか?
母は90歳で、当時は要介護4程度の認定を受けていました。施設に入る前、家で2度ほど転倒してしまい、両足の付け根に金属を入れる手術をしました。もともと腰の骨が潰れてしまう持病があり、立つときにうまく重心をかけられない状態だったのです。手術を機に、家での生活は難しいだろうということになり、本格的に施設を探し始めました。
以前入っていた施設では「認知症の気がある」と言われていましたが、私たち家族と話すときは名前もきちんと覚えていて、ごく普通に会話ができていました。ただ、年齢のこともあり、どちらかというと寝ている時間が多いような状態でした。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に施設を探し始めたのは、以前利用していた施設への不満がきっかけでした。母が「ここの食事は美味しくない」とこぼしていたことや、兄弟が「スタッフがあまり母の相手をしてくれない」と感じていたことが重なりました。
特に兄弟がその施設の対応に強い不満を持っており、「次の施設を探そう」と強く勧められたことで、私も重い腰を上げました。一昨年の冬頃からパンフレットを集め始め、暖かくなる春先から本格的に見学などを進め、半年ほどかけて新しい施設を探しました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
正直なところ、兄弟にせっつかれる形で施設を移ることになったので、複雑な気持ちがありました。そして、移った先でこのような事故が起きてしまったので、「前の施設は色々あったけれど、あのまま置いておいたら…」という後悔の念が、今もずっと胸に引っかかっています。
母本人は状況を深く理解していなかったかもしれませんが、私たち家族としては、母のためを思って下した決断が、最悪の結果につながってしまったという思いが拭えません。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学の時点では、特に不安を感じることはありませんでした。むしろ、何件か見学した施設の中では一番印象が良く、前向きな気持ちで入居を検討していました。24時間看護師さんがいるという手厚い体制や、施設内で調理される美味しそうな食事のメニューなど、良い点ばかりが目につき、ここなら母を安心して任せられるだろうと感じていました。