入居後の変化
入居後、両親から様々な不満を聞くようになりました。特に不満を感じたのは、施設の管理体制と職員の対応、そして食事の質です。
まず、他の入居者との交流が極端に制限されていたことに驚きました。父と母から聞いた話では、隣の部屋の人と物をあげたり、部屋を行き来したりすることすら禁止されていたそうです。これは、おそらくトラブル防止や管理のしやすさを優先した結果なのでしょう。施設には、認知症で何も分からない方もいれば、比較的元気で頭もしっかりしている方もいると聞いていました。多様な入居者がいるため、管理が難しいのは理解できますが、健康な者からすると、自分で外出もできるし、他者とコミュニケーションも取れる状態なのに、それを一切させてもらえないというのはかなり厳しい制限でした。両親は、まるで自由を奪われたかのように感じていたようです。
また、朝食が異常に早い時間に出されることも不満でした。両親は「なぜこんなに早いのか」と疑問に感じていました。これは、完全に施設側の運営都合で決められた時間だとしか思えませんでした。
そして、最も不満が大きかったのが食事のクオリティです。基本的には美味しくなく、両親からは「何の魚かもよくわからないものがほぼ毎日出ていた」と聞きました。さらに驚いたのは、漬物類すら一切出されないということでした。食卓に彩りも変化もなく、毎日同じような食事が続くことに、両親は強い不満を抱いていました。
結局、私は定期的にスーパーで食べ物を買い込み、両親の冷蔵庫に入れておく生活が続きました。漬物やラーメンなど、施設では出ないものを買って持っていくのです。正直、これでは施設に入居させた意味がないのではないかと、私は強く感じました。食事は日々の大きな楽しみの一つであるはずなのに、それが奪われている状況は、両親にとって精神的な負担も大きかったと思います。
職員の対応についても気になる点がありました。特に、とある職員の一人で、母が「もうあの人には会いたくない」と漏らすほど、介助の際に腕をつかむなど、対応が強引だと感じることがあったそうです。その職員さんとしては一生懸命やっているつもりだったのかもしれませんが、母にとっては恐怖や不快感を伴うものだったのでしょう。
また、父が体調を崩し救急車を呼ぼうとした際に、職員から「呼ばなくていい」と制止されたこともあったと聞き、安全面に対しても疑問符が付きました。普段の介護は助かったものの、このような対応には不安を感じずにはいられませんでした。
見学時の不安は解消したか
施設探しは、ほとんど一発で決めたような形でした。金額や条件が合う施設で、実際に見学に行くと、建物が綺麗だったことが決め手となり、入居を決めました。
施設の敷地内には、小さいながらも庭があり、そこにも魅力を感じていました。しかし、実際に入居してみると、庭にはほとんど出られないことがわかりました。鍵がかけられていたり、外に出ようとすると職員に止められたりするため、外出は難しい状況でした。まるで「缶詰状態」で、想像していた生活とのギャップに不満を感じました。