入居前の状況
もともとは、私が中心となって両親を在宅で介護していました。父も母も高齢でしたし、できる限りは自宅で、という思いがあったからです。
施設探しを始めたきっかけ
しかし、だんだんと母に認知症の症状が見られるようになってきて、状況は少しずつ変わっていきました。
言葉の選び方や行動に変化が見られ、目が離せない時間が増えていく。父も高齢で、二人分の介護を私一人で担うことの心身の負担は、日に日に大きくなるのを感じていました。
「老老介護」という言葉が頭をよぎり、「このままでは共倒れになってしまうかもしれない」という不安が、いよいよ現実味を帯びてきたんです。それが、本格的に施設探しを始めようと決意した、一番のきっかけでした。
入居決断時の葛藤・罪悪感
とはいえ、いざ施設の話を切り出すと、やはり両親、特に母からの抵抗はありました。「家がいい」「施設なんて行きたくない」という気持ちは、当然だと思います。父は比較的、私の提案に理解を示してくれましたが、母を説得するのは簡単ではありませんでした。
最終的には、何度も話し合いを重ね、私の状況やこれからの生活について理解を求め、「ほぼほぼ合わせてもらった」というのが正直なところです。もちろん、親を施設に入れることへの葛藤や、申し訳ないという気持ちがなかったわけではありません。でも、このまま在宅介護を続けて親子関係がこじれてしまうより、専門家の方々の力を借りて、お互いが穏やかに過ごせる環境を選ぶことが、両親にとっても私にとっても最善の道なのだと信じることにしました。
見学時の施設に対する不安
施設を探すにあたり、やはり一番気になるのは「実際の環境」です。例えば、施設が不衛生だったり、雰囲気が暗かったりしたらどうしよう、という漠然とした不安はありました。
そのため、私たちはインターネットの情報だけで判断するのではなく、必ず自分たちの足で複数の施設を見学して回ることにしたんです。実際にいくつか拝見し、スタッフの方々がどのように入居者さんと接しているか、施設全体が清潔に保たれているかといった環境面を、この目でしっかりと確認しました。比較検討を重ねたことで、「ここはちょっとな…」という不安要素を一つひとつ取り除くことができ、納得感を持って施設選びを進めることができました。