すまいるホーム上津・弐番館
に82歳・女性・要介護1で入居中の方へのインタビュー

もともと母は、私たち家族と一緒に暮らしていました。それが、数日前から具合が悪くなり、急に倒れてしまって。それから体が動かなくなって入院したんです。退院が近づいてきたんですが、もう足が全く使えない状態で。それに、認知症もだんだんひどくなってきていて、さすがにこれまでのようにはいかないだろうなと。うちの家の設備じゃ、階段とか段差もありますし、とてもじゃないけど家に帰るのは難しかったですね。

病院から退院する時期が迫っていたので、それに合わせて施設を探し始めました。期間としては1ヶ月くらいはあったと思うんですけど、なかなか空いてる施設はないとも聞いていたので、少し急いで探しましたね。

施設に入れることへの葛藤とか、罪悪感みたいなものは特になかったです。母も自分の体のことがあるからか、「もう、しょうがない」という感じでした。私たち家族としても、むしろ「逆に預けた方が安心だ」という気持ちでしたね。ちょうど娘が就職するタイミングで、日中は家の中が誰もいなくなってしまうんです。一人でほったらかし、というわけにもいきませんから。施設なら常に人がいてくれるかな、という安心感がありました。

何ヶ所か見学にも行きました。最初に見に行った施設は空間がかなり狭くて、息苦しい感じがしたんです。窓もあまりなくて、閉鎖的な雰囲気で。「ここは、自分でも嫌だなぁ」って感じてしまいました。次に行った系列の施設は、逆に広すぎるくらいで。広すぎても、なかなか目が行き届かないんじゃないか、という心配がありましたね。

施設に入ってから、母は病院にいた頃より全然明るくなりましたよ。本人も「楽しく過ごしてる」と言っています。やっぱり、常に周りに人がいて、関わる機会があるのが母には合っていたんでしょうね。 ただ、最近少し認知症が進んできたみたいで。どうも自分の生まれた実家にいるような感覚になっているみたいなんです。面会に行くと、私のことを自分の弟だと思っている時もあって、「あんたどこに寝とったと？」なんて聞かれたりします。一緒に住んでいると思ってるみたいですね。本人が穏やかに過ごせているならという気持ちと、少し寂しい気持ちと、症状が進行していくのは心配な気持ちもありますが、こればかりはしょうがないですね。 施設では携帯電話も使えるので持たせているんですが、母の方からしょっちゅう電話がかかってくるんですよ。そうやっていつでも繋がっていられるのは安心ですね。 私たち家族としては、母が急に倒れて入院して、これからどうなるんだろうとバタバタしていたのが、施設に入居してくれて、やっと「ホッとしている」ところではありますね。

今お世話になっているすまいるホームさんは、広さもちょうど良くて、雰囲気も良かったんです。見学に行った時に、皆さんが集まるところで和気あいあいと話している様子が見えて。スタッフの方も、感じの良い人が多いな、という印象でした。ここなら良いかな、と思えましたね。

日中の過ごし方としては、週に3～4回、隣にあるデイサービスに行っているんです。本当にすぐ隣で、歩いて10秒、20秒で行けるくらいの距離です。ほんの少しですけど、外に出て体を動かす良い機会になっていると思います。他にもちょこちょこイベントをされているみたいで、春にはお花見に連れて行ってもらったりもしたようです。施設の中だけでずっと過ごすわけじゃないので、日々の生活にメリハリが生まれているんじゃないでしょうか。

スタッフさんが皆さん良い方たちで、安心して母を任せられています。私たち家族との連携も取りやすいですね。面会は、家族の場合は特に事前の連絡は必要なくて、「いつでもどうぞ」という感じなので当日いきなり行っても大丈夫なんです。なので、私も月に1回の付き添いと2週に1回くらいの頻度で顔を出しますし、妻も妻で私とは別に会いに行ったりもしています。まあ、行くときには一応、それぞれ電話は入れていますが、いつでも快く迎えてくれます。 友人に関しても、家族が一緒に連れて行く分には問題ないんです。ただ、友人だけで会いに行くという場合には、事前に一本連絡を入れてほしいとのことで、コロナ対策やセキュリティの面でも、そうやってきちんと管理してくれているのは安心ですね。 また毎月、請求書と一緒に、施設の様子を知らせるお便りを送ってくれるんです。そこには、イベントの時なんかに撮った写真がたくさん載っていて。母が写っている写真を見ると、元気にやっているんだな、楽しそうだな、と様子がよくわかって安心します。面会だけではわからない表情が見られるのは、本当に嬉しいですね。

医療面でのサポートがしっかりしているのも、ここの良いところです。2週間に1回、提携している病院から訪問診療に来てもらえます。それに加えて、もし具合が悪くなった時にはすぐに病院から看護師さんが来てくれたり、救急車で大きな病院に搬送してくれたりする緊急時の体制もしっかり整っているんです。 それとは別に、持病の関係で定期的な通院もあるのですが、その時は私が付き添いで病院に連れて行っています。そういった家族の動きと、施設側のサポートがしっかり連携できていると感じますね。 将来的には看取りまで対応していただけると聞いているので、その点も、私たち家族にとっては大きな安心材料になっています。

久留米の街中ながらも国道から少し入った住宅街にあるので、車の音とかも全然しなくてすごく静かなところなんです。騒がしい感じがないので、穏やかに過ごせる良い環境だと思いますね。私たちの家からも車で15分ほどと近いので、そういった点でも助かっています。

今のところ、特に大きな不満はないんですけど、一つだけ。テレビを持って行ったら、なぜか電波が悪いのか3局ぐらいしか入らなかったんです。理由はわからないんですけどね。まあ、母はもともとあまりテレビを見る人ではないので、気にしている様子はありませんが。

今回お話を伺ったのは、お母様を施設に預けていらっしゃる息子様です。それまでお元気だったお母様が急に倒れ、ご自宅での生活が難しくなるという突然の事態。ご家族が日中不在になるタイミングも重なり、まさに待ったなしの状況で施設探しを始められました。切羽詰まった中でも冷静に複数の施設を見学し、お母様にとって最適な環境はどこか、そしてご家族が安心して任せられるのはどんな場所かを、真摯に考えていらっしゃった様子が伝わってきました。「罪悪感はなかった。むしろ安心した」という言葉が、介護は家族だけで抱え込むものではなく、プロの力を借りることで本人と家族、双方の幸せに繋がるということを物語っているように感じます。お母様の認知症の進行を心配されながらも、施設での穏やかな暮らしと手厚いサポートへの深い信頼と感謝を語る姿が、とても印象的でした。