入居前はどのような状況でしたか?
もともと母は、私とは離れた場所で一人暮らしをしていました。性格的にも本当にギリギリまで頑張る人でしたし、私も母の気持ちを尊重してあげたかったので、施設への入居を強く勧めることはずっとできずにいました。本人が望んでいないのに、無理矢理という形になるのだけは避けたかったんです。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に探し始める直接のきっかけは、介護度が高くなった母が、自身の口で「もう一人暮らしは難しいかも」と言ってくれたことでした。あの言葉を聞いて、ああ、本当に限界なんだなと。それまでも、実は1年か2年くらい前から少しずつ探し始めてはいたんです。でも、いろんなところに電話をしてみたりしているうちに、だんだん自分でもどこが窓口でどうなっているのか分からなくなってきてしまって…。情報が多すぎて、本当に混乱していました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
一人暮らしが長かった母を私の家の近くに呼び寄せるというのは、すごく勇気がいることで、正直なところ大きなプレッシャーを感じていました。あっちを立てればこっちが立たず、という感じで、何をどう優先させればいいのか、いろいろと悩みました。母がお金のことをすごく気にする人だというのも分かっていたので、余計に何が一番いいのか分からなくなってしまって。
そんな時、相談に乗ってくださった担当の男性スタッフの方が、すごくシンプルに「お母様の病気をちゃんと受け入れてくれるところ」というポイントを言ってくださったんです。その一言で、たくさんあった選択肢が整理されて、本当に助かりました。今は、あの時の決断で良かったかなって思っています。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学に行く前から、一番不安だったのはやはり病院のことです。母には治療が必要な持病があったので、何かあった時にきちんと連携してくれる病院があるのか、本当にそこが不安で…。特に、これまで住んでいた土地とは違う場所に来るので、私自身もこの辺りの病院事情には詳しくありませんでした。風邪をひいた、というような病気ではないので、専門的な治療を継続できるのか、という点が本当に大きなプレッシャーでしたね。