いこいの里掛川
に87歳・女性・要介護1で入居中の方へのインタビュー

私たち家族も一緒に住んではいたんですけど、共働きなので昼間はどうしても誰もいなくなっちゃうんです。それで母が一人きりで。 だんだんと物忘れが出てきたかな、という感じはありましたし、足腰が弱ってきたのか、私たちが仕事から帰ると「今日、ここで転んじゃったのよ」なんて言うことが何度かあったもんですから、心配で。 それに、自分でご飯の準備とかをしなきゃいけないんですけど、そういうのもだんだん面倒くさくなってきた、という部分もあったみたいですね。かといって、私たちが全部やってしまうと、今度は本当にやることがなくなってテレビを見ているだけになってしまうので、それもどうなのかな、と感じていました。

やっぱり一番は、日中に何かあった時にすぐに対応できないことへの不安でしたね。転んだりしていたので、万が一の時に発見が遅れてしまったらどうしよう、という思いが常にありました。日中の安全を考えると、施設にお願いした方がいいのかもしれない、と考えるようになりました。

母が自分から「施設に行く」って言ったわけではなくて、私たちから「どう？」っていう感じで話を切り出しました。 もちろん、最初は抵抗があったと思いますが、相談員の方とかケアマネの方が家に来てくれて、本人としっかり話をしてくださったおかげで、納得してくれました。 私たち家族としては、特には…というのはあれですけど、もし「どうしても慣れなくてダメだ」って言うなら、また家に帰ってくればいいかな、みたいな感じはありましたね。まずは一度、試してみようという気持ちでした。

実は、今お世話になっている施設は、最初から希望していた場所ではなかったんです。 もとは同系列の別の施設に希望しようかなって思ってたんですが、どうしようか検討してる間に、そちらがいっぱいになっちゃって。それで今の施設なら空いてますよ、というお話で決めたという経緯がありました。 正直今の施設は周りが少し山っていうか、囲われた感じの場所なので、「ちょっと閉鎖的なイメージかな？」という私たちの中に勝手なイメージがあったんですね。だから、最初に希望していた施設の方がいいかな、なんて話はしていました。

施設に入ってから、母はとても元気に過ごしているようです。 日中は部屋から出て、下の階の皆さんが集まる場所で、デイサービスの活動に参加しているみたいです。人の目があるという安心感があります。 医療面でも月に2回、施設にお医者さんが往診に来てくださるんです。よっぽど具合が悪くなった時は、一度だけ「病院に連れて行ってください」と連絡がありましたが、普段の健康管理は施設にお任せできるので、とても安心しています。 食事も、歯が少なくなってきたので刻み食をお願いしていますが、特に「合わない」とかいう話は聞かないですね。時々様子を聞くと、いつも「よくしてもらってるよ」と話しています。

入ってみたら別にそんな閉鎖的な感じはありませんでした。 何より、本人も施設の皆さんがすごく良くしてくれるし、入っている人たちともうまくやっているみたいで、「すごくいい」って言ってるもんですから。 当初の予定とは違う場所になりましたけど、本人が満足してくれているのが一番なので、本当に安心しました。

この施設に決めて良かった理由の一つが、建物の中で一日の活動が全部できるところですね。見学に行った施設の中には、デイサービスに行くために、また別のところへ移動しなきゃいけない、というところもあったもんですから。足が弱ってきている本人にとっては、それは面倒くさいかな、というのもありました。その点、今の施設は部屋から下の階に下りれば、そこでデイサービスをやってくださるので、いちいち外に出なくていい。その手軽さが、本人にとってはすごく良かったんじゃないかなと思います。

スタッフの皆さんが本当によくしてくださるみたいで、本人も満足しているのが何よりです。私たちが着替えなんかを届けに行った時に、「どうですか？」って様子を聞けば、普段の様子をきちんと教えてくださるので、会えなくても様子が伝わってきて安心しています。特に入居の時、「何かあった時の連絡はどうしますか？」って聞いてくれたのがありがたかったですね。「その辺をぶつけてしまいました」くらいのご連絡をいただいても、こちらも「どうします？」となってしまうので、本当に骨折とか大変な時だけでお願いしますとお伝えできたので、無理なく信頼してお任せできています。

毎月、施設での様子をまとめた「おたより」みたいなものを送っていただけるのが、すごく嬉しいですね。写真も載っていて、「今月はこういうことをやりましたよ」っていう活動の様子がわかるようになってるんです。そこにうちの母の写真を入れてくれていたりもするので、「ああ、普段はこうやって過ごしてるんだな」って様子がわかって。他の方がお散歩やお花見で外に出ている写真が載っていることもあります。母はまだ参加していませんが、ずっと建物の中にいるわけではなく、季節を感じられるような機会もあるんだな、ということが分かって安心しますね。

一番想定外だったのは、第一希望ではなかったこの施設が、結果的に母にとっても私たちにとっても、一番良い場所になったことですね。 あとは、感染対策がすごくしっかりしていることにも、良い意味で驚きました。面会は希望すればできるんですけど、誰でもやたらに行けるっていう感じにはなっていないんです。だからと言って、生活が窮屈なわけではなく、感染症から守るために厳しくしてくれているんだなと思えて、かえって安心しています。

特にはないですけどね。本当に満足しています。

今回お話を伺った娘様は、とても穏やかな口調で、お母様を思う深い愛情がひしひしと伝わってくるようでした。「もし施設が合わなくてダメだと言うなら、また家に帰ってくればいいと思っていたんです」という言葉から、決して無理強いするのではなく、常にお母様ご本人の気持ちを第一に考えていらっしゃったことが伺えます。 当初の希望とは違う施設への入居となり、最初はご不安もあったとのことですが、お母様が「すごくいい」と満足されていることを、ご自身のことのように嬉しそうにお話しされる様子お電話越しにも伝わってきて、とても印象的でした。 施設選びでは、立地や建物の綺麗さ、設備の充実度ももちろん重要ですが、「スタッフの方々の対応」や「施設での日々の様子が家族にどう伝わるか」といった点が、入居後の本人と家族の安心感に大きく繋がるのだと、改めて実感させられる貴重なお話でした。