実は、この施設に入居してから、私たちは想像もしなかった現実に直面することになりました。それは、
スタッフの人数が圧倒的に少ないということです。特に夜間はさらに手薄になり、ナースコールを鳴らしても、なかなか誰も来てくれない、という状況が頻繁に起こっていたんです。母から、
『廊下で一人座り込んで泣いていたことがあった』と聞いた時は、本当に胸が締め付けられる思いでした。他の入居者の方々も同じような経験をされていたようで、『みんな泣く』『お互いに慰め合うしかない』と聞いた時は、ショックで言葉になりませんでした。『なぜ、SOSを発しても誰も来てくれないのか』と、怒りや悲しみが込み上げてきました。大切な母を預けているのに、必要な時に誰も助けてくれないなんて、あまりにも辛すぎると思いました。
さらに、この施設は外国籍の経営者の方が運営していたのですが、その考え方が施設の運営全体に色濃く影響しているように感じました。母が転居した別の施設では、少しでも物音がすればすぐに部屋に飛んできて、転倒していないか確認してくれるのが当たり前でした。それなのに、『さくら』では、
いくらナースコールを鳴らしても、泣き叫んでも、誰も来てくれない。このギャップに、『こんなにも対応が違うものなのか』と愕然としました。もしかしたら、文化的な背景の違いからくるケアへの考え方の違いが、私たちの求めるものと合わなかったのかもしれません。スタッフの方々も、きっと人手不足で大変なのだろうとは思います。でも、イライラしているのが伝わってきて、母も話しかけると叱られるのではないかと怖がっていたんです。大切にされていると感じられない場所で、母が安心して過ごせるはずがありません。事務の方も、担当者がいないと何も分からない、と一点張りで、連絡も悪くて…。要は、
『詰めが甘い』というか、細やかな気配りや確認が全く行き届いていないと感じました。
食事についても、母が「咲楽」を退去して、別の施設に転居した後に、「ここの施設の食事は、咲楽さんの食事とは全く違うわね」と漏らしていました。今の施設も「咲楽」も、基本的に取り寄せのものが多いようなのですが、「咲楽」では揚げ物のようなメニューが多かったようです。『全然違う』と本人が言うくらいですから、口に合わなかったのでしょう。他の入居者の方々も、
デイサービスでは何もせずにうつむいているだけ、と話していたそうです。『何にもしない経営っていうのはそういう風なんだね』と、正直、諦めにも似た気持ちになりました。このような環境では、心身ともに健康に過ごすのは難しいと、日に日に強く感じるようになりました。
私は4年間も母をこの施設に入れていましたが、正直なところ、昨年から『どうにかして転居させたい』とずっと思っていました。でも、母は初めての施設だったので、環境が変わることをとても嫌がっていたんです。無理に転居させて、もし母が辛い思いをしたらどうしよう、という不安もあり、なかなか踏み切れませんでした。そんな時、医師から
母の数値が悪くなっていると言われ、『これはもう、転居するしかない』と、決心しました。母は最初は『変わりたくない』と嫌がっていましたが、転居してからは『本当によかった、よかった』とずっと何ヶ月も言ってくれるようになり、私もようやく心が落ち着きました。この施設を人に勧めることはできませんし、私自身ももっと早く決断すべきだったと反省しています。実は、母の知り合いや仲の良い方も含め、4人もの方が一斉に退去したと聞いています。退去する際も、事務の人手不足のためか、手続きがスムーズではありませんでした。特に、私の知り合いは2日間だけ入居したのですが、15万円近い費用を請求され、『3泊2日で15万はかわいそうだな』と、理不尽さを感じました。
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