住宅型有料老人ホームサエラ春日野道
に76歳・女性・要介護1で入居中の方へのインタビュー

入居する前、母は一人で元気に暮らしていたんです。でも、がんが再発してしまって。抗がん剤の治療を始めたんですけど、その副作用でせん妄と認知症の症状が出てきてしまいました。それまでは当たり前にできていた料理なども、少し難しくなってしまって。

抗がん剤の副作用でもう一人で生活するのが難しくなったのですが、私が住んでいる家だと部屋も足りなかったりというのもありましたし、同居は難しいなと。それで、担当の方に相談して施設を探していただくことになりました。

母本人は、要介護1なので、トイレもお風呂も自分で行けますし、まだまだ一人暮らしでもいける、と思ってるところがあったみたいで。施設に入るということには、やっぱり葛藤があったと思います。「料理がしたい」とか、「入院してた時の方がまだ自由だった」なんて言っていたこともありましたね。

他の施設は見学に行きませんでした。3つぐらい候補を挙げてもらったんですけど、私の家からまず一番近いというのでここに決めてしまったので、内容も特に大きな不安というのはありませんでした。

この施設は、事前に伝えておけば外出も旅行もOKなんです。母も「ずっと施設の中にいるのは嫌だ」と希望していたので、週に1回でも気晴らしに外に出られるのが、本人にとってもすごく良いみたいです。外でお昼を食べる時は「昼食はキャンセルします」と前もって伝えたら大丈夫です。施設から駅が3分もかからないくらいなので、一駅で三宮にも行けます。門限というか、18時までに帰る決まりはあるんですけど、過ぎる時は私の家に泊まることもできるので、すごく自由度があるなと感じますね。

入居する前から、母の年金を考えると、後々厳しくなったら生活保護を受ける形になるかもしれない、というお話をしていました。施設によっては対応が難しいと聞いていたので不安でしたが、ここは「そうなっても大丈夫ですよ」と最初から受け入れてくださって。この先どうなるか、という金銭的な不安なくお任せできるのは、本当にありがたいです。この安心感は、何にも代えがたいですね。

ここの施設は、本当にスタッフの方たちの雰囲気がいいな、と感じます。入居してから1年以上経ちますが、人の入れ替わりがあまりなくて、同じ方がずっと担当してくださっているんです。皆さん大変なお仕事だと思うんですけど、いつも明るく声かけをしてくださいますし、廊下とかも清潔に保たれています。母も安心して過ごせているのは、こういう日々の温かい雰囲気があるからなんだろうな、と思いますね。本当に感謝しかないです。

医療面でも安心してお任せできています。施設に先生が2週間に1回、定期的に来てくださいますし、本当に助かっています。一方で、全ての通院をお任せするわけではなくて。母を月に1回、私が整形外科に連れて行っています。使える介護のポイントなどをうまく使いながら、私がフォローできそうなところは私がやる、という感じで、無理なく関われています。家が近いから、こういう分担ができるのも大きいですね。

見学の際に洗濯機を見せていただいたので、母も私も「スタッフの方に見てもらいながら、自分でも洗濯ができる」と思っていたのですが、実際は全部スタッフの方がやってくださるシステムでした。 母には「できる限り自分で洗濯したい」という強い気持ちがあったのですが、水滴で床が濡れて転倒の危険があるため、施設側としては自分で洗濯するのは難しいということでした。 本人が今までできていたことが施設ではどうなるのか、生活の中の細かいルールみたいなところは、入る前にもっとしっかり質問すれば良かったなと感じています。 ただ、1年以上経った今では本人なりに折り合いをつけたようで、施設の自室が一番安心できる場所になっているみたいです。 私の家に来て泊まっても「やっぱり気を使う」と言って施設に帰るくらいなので、本当に「住めば都」といった感じなのかなと思います。

今回お話を伺った娘様の言葉の端々から、お母様への深い愛情と、二人三脚で現在の穏やかな暮らしを築いてこられた様子が伝わってきました。「自分でやりたい」というお母様の気持ちを尊重し、施設のルールとの間で悩みながらも、少しずつ着地点を見つけていく過程は、多くのご家族が共感される点ではないでしょうか。特に印象的だったのは、施設の「近さ」が、お母様の「外出したい」という希望を叶え、また医療面での家族の関わり方も柔軟にしている点です。施設、ご本人、そしてご家族の三者がうまく連携することで、制限の中にも確かな自由と楽しみが生まれるのだと、改めて感じさせられました。