福寿はちおうじ宇津木町
に80歳・女性・要介護1で入居中の方へのインタビュー

母はもともと一人で暮らしていましたが、かかりつけの主治医から「そろそろ一人暮らしは難しいので、早めに施設を探した方がいい」と助言を受けている状況でした。認知症という診断ではありませんでしたが、少し前のことを忘れたりすることはあり、家族としても今後の生活に少し心配を感じていました。

主治医からの助言が、施設探しを具体的に考える直接のきっかけになりました。 しかし、私の中では「探す」というより、「母の時は絶対にここに」と心に決めていた施設があったのです。 それが、今お世話になっている施設でした。数年前に、まだ「アスカ」という名前で運営されていた頃、ショートステイで私の義母がお世話になったことがあり、その時の素晴らしい体験が忘れられなかったからです。

この施設に決めるにあたって、不安などは一切ありませんでした。 それは、義母がお世話になった際の職員さんの対応が本当に素晴らしく、当時、介護について何もわからなかった私に、年配の女性の介護士さんが色々なことを親身に教えてくださったという絶対的な信頼があったからです。 運営会社は変わっていましたが、その時の温かい経験から「ここしかない」と確信していました。そのため、他の施設を比較検討することは全く考えず、母の介護認定がまだ下りる前から「絶対に入りますので」とお願いして、待機申込リストに載せてもらったほどです。

入居して一番良かったのは、デイサービスがとても充実していることです。母は、まだ自分でできることも多いので、ただ部屋にいるだけでは時間を持て余してしまいます。 こちらでは、職員の方々が「入居者さんを飽きさせないように」と、本当に熱心に勉強され、様々なレクリエーションを考えてくださいます。歌をみんなで歌ったり、頭の体操になるクイズで盛り上がったり、折り紙で飾り物を作ったりと、そのプログラムは多岐にわたります。 基本的に皆さんで参加するスタイルなので、自然と交流が生まれ、母は「楽しいわよ」と話しています。人によっては「活動が多すぎて自由な時間がないのでは？」と感じるかもしれませんが、母曰くそんなことはなく、自由な時間もあるよとのこと。この、やることがあって飽きない毎日が、母にはぴったりだったようです。

以前お世話になった時から変わらず、職員の方々が本当に素晴らしいです。アットホームで、ギスギスした感じが全くありません。以前、パートの職員さんが「ここは本当にいいですよ。職員さんがみんないい方ばかりなんです」とこっそり教えてくださったことがありました。働いている方がそう思える職場というのは、本当に雰囲気が良い証拠だと思います。家族のように温かく接してくださるので、安心して母を任せられています。

おかずは外部の宅配サービスを利用しているそうですが、ご飯とお味噌汁は施設内の厨房で手作りしてくださいます。広い食堂で、皆さんと一緒に温かいものをいただけるのが、母にはとても合っているようです。実際に「ここのお味噌汁とご飯は美味しいのよ」と、食事の時間を楽しみにしていると聞き、安心しました。高級な料理ではありませんが、この家庭的な「手作り感」が、母の心を満たしてくれているのだと感じます。

入居されている方々が、皆さんとても穏やかで良い方ばかりなのも、この施設の魅力です。いわゆる「お高く留まっている」ような方がいらっしゃらないので、母もすぐに馴染むことができました。日々のレクリエーションを通して、自然と他の入居者の方と交流できる時間が多く、それが良い刺激になっているようです。一人で部屋にこもる時間がほとんどなく、気の合う仲間と楽しく過ごせていることが、何よりの安心材料です。

他の施設と比べてしまうと、サービスのきめ細やかさという点では少し異なります。例えば、全職員が入居者の状況を細かく把握している、というよりは、担当の方々が中心に見守ってくださるスタイルです。また、電話に出る方が少し頼りない感じの時があり、初めて電話した方は少し驚くかもしれません。 でも、私はそれで良いと思っています。過剰なサービスは職員さんの負担を増やしてしまいます。「お客様」として扱ってほしいのではなく、「家族」のように温かく見守ってもらいたい。そう考える私たちにとっては、全く気にならない点です。

過去のご自身の素晴らしい体験への信頼から、他の施設と比較することなく入居を決められたというお話が非常に印象的でした。お母様が「楽しい」と仰っているというエピソードから、その決断が間違っていなかったことが伝わってきました。「お客様扱い」の丁寧なケアが合う方もいれば、今回のような「家族的」な温かさが合う方もいる。施設の良さは一つではなく、入居されるご本人の性格やご家族の価値観に合った場所を見つけることが何よりも大切だと、強く感じさせられるお話でした。