入居前はどのような状況でしたか?
私の叔母は姉妹で、二人とも生涯独身でした。生まれてからずっと一緒に暮らしてきた二人なので、とても仲が良かったんです。上の叔母は少し認知症の症状が出始めていましたが、9歳年下の下の叔母はまだ元気で、姉の世話をしながら二人で生活していました。
身内は私しかおらず、叔母たちの家までは車で30分ほどかかる距離でした。身体的な介護はしていませんでしたが、身の回りの世話などで頻繁に顔を出していました。ただ、ヘルパーさんにお願いしている時間以外は二人きりになってしまうので、何かあったときにすぐ駆けつけられないという不安は常に感じていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
施設探しを真剣に考え始めたのは、私の母が亡くなったことが直接のきっかけです。母のお葬式の最中に、下の叔母が葬儀場のトイレで転倒し、大腿骨を骨折してしまいました。叔母はなんとかお葬式が終わるまで痛みをこらえてくれたのですが、その一方で、上の叔母が葬儀屋のスタッフの方に「私、一人っ子なんです」と話しているのを耳にしたんです。
すぐ隣に妹がいるのに、そんなことを言うなんて…。下の叔母は毎日一緒にいるからか、姉の認知症の進行具合を客観的に見られていなかったようですが、離れて暮らす私にはその一言が衝撃的で、「これはもう、二人だけの生活は限界だ」と強く感じました。その足で市町村の福祉窓口に駆け込み、介護認定の手続きを進めると同時に、すぐに施設探しを始めました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
身内を施設に入れるのは初めての経験でしたし、両親もすでに他界していたので、相談できる相手が誰もいませんでした。たった一人で全てを決めなければならない状況で、「本当にこれでいいのだろうか」という漠然とした不安は常にありました。ただ、それ以上に「このままでは二人の安全が守れない。施設に入れば、少なくとも命の安全は確保される」という思いの方が強かったですね。
叔母たちをあちこち見学に連れ回すのは負担が大きいと考え、施設探しから見学まで、すべて私一人で行いました。いくつかの施設を比較検討し、ここが一番良いと確信した場所を叔母たちに提案したところ、「あなたが言うことだから間違いないわ」と信頼して任せてくれました。その言葉に、少しだけ肩の荷が下りたのを覚えています。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学した施設はとても綺麗で、建物自体に危険を感じるようなことはありませんでした。ただ、二人で入居できる広いお部屋は、ミニキッチンやお風呂も付いていて、まるでマンションの一室のようでした。クローゼットが少し離れた場所にあったりして、どちらかというと、まだお元気なご夫婦が終の棲家として暮らすことを想定して作られているのかな、という印象を受けました。
私の叔母のように、少しずつ介護が必要になってきたり、認知症の症状が進んできたりした人にとっては、少し「普通すぎる」というか、動線などが暮らしにくい部分も出てくるかもしれない、という点が少し気になりました。