入居前はどのような状況でしたか?
弟は当時59歳、もうすぐ60歳になるという頃でした。要介護5の認定を受けており、体はほとんど寝たきりの状態でした。認知症はありませんでしたが、双極性感情障害という精神的な病を抱えていました。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返したり、バルーンカテーテルを使用したりと、医療的なケアも必要な状態でした。
入居前は自宅にいた時期もありましたが、体調を崩してからは病院に入院し、その後リハビリ病院へと移っていました。そして、そのリハビリ病院からも退院の時期が迫っており、次に行く場所を見つけなければならないという状況でした。私自身は離れた場所に住んでいるため、弟の今後をどうすれば一番良いのか、不安と焦りを感じていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
リハビリ病院からの退院が、施設探しを始める直接のきっかけでした。退院後の生活の場を確保するため、入居の1〜2ヶ月前から本格的に探し始めました。紹介業者の方にも協力してもらい、弟の状況を受け入れてくれる施設を必死で探したのですが、これが本当に大変でした。
要介護5でほとんど寝たきり、さらに精神的な疾患もあるという条件はかなり厳しかったようで、問い合わせた施設からは次々と断られてしまいました。その数、実に10数件。本当に八方塞がりで、「この先どうなってしまうんだろう」と途方に暮れていたのを覚えています。そんな中で、ようやく受け入れ先として見つかったのが、この施設でした。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
多くの施設に断られ続けた後だったので、入居が決まった時は、正直なところ罪悪感や葛藤よりも「受け入れてもらえて良かった」という安堵の気持ちの方が大きかったです。もう他に選択肢がない状況でしたから、「拾ってもらった」というのが当時の率直な心境でした。
もちろん、離れた場所に住む弟を施設に預けることへの不安はありましたが、それ以上に、行き場がなくなるという最悪の事態を避けられたことに、ほっとしていました。ですから、入居を決断する際には、複雑な思いはありつつも、前に進むしかないという気持ちでした。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学に伺った際は、ようやく見つかった受け入れ先ということで、感謝の気持ちが強く、大きな不安はありませんでした。ただ、施設全体が少しこぢんまりとしているな、という印象は受けました。
具体的には、エレベーターが少し狭く、寝たきりの弟が移動に使うストレッチャーが入らないこと、そして、施設の駐車場が2台分しかなく、面会に来る家族にとっては少し不便かもしれないと感じた点です。とはいえ、これらは入居をためらうほどの大きな問題ではなく、まずは受け入れてもらえることが何より重要だと考えていました。