入居前の状況
父が83歳の頃だったでしょうか。それまでは私と二人で、自宅で穏やかに暮らしていました。しかし、父が蜂窩織炎という感染症で入院し、退院してきた時には、めっきり体力が落ちてしまっていたんです。私一人で父の介護を担っていたのですが、日中仕事で家を空ける時間もあり、その間に転倒してしまうのではないかという不安が常にありました。
施設探しを始めたきっかけ
そんな矢先、本当に心配していたことが起きてしまったんです。父が一人で外出し、熱中症で倒れて救急車で運ばれるという出来事がありました。幸い命に別状はありませんでしたが、この一件が、本格的に施設入居を考える大きなきっかけとなりました。
入居決断時の葛藤・罪悪感
「施設に入るのだけは嫌だ」。父は当初、施設への入居に強い抵抗感を示していました。長年住み慣れた家を離れることへの寂しさや、集団生活への不安があったのだと思います。私も、できることなら父の意向を尊重したい気持ちでいっぱいでした。
しかし、熱中症で搬送された際にお世話になった主治医の先生から、「このままご自宅に戻られても、また同じようなことを繰り返してしまう可能性が高いですよ」と、厳しいながらも現実的なお話をいただきました。「お父様のためにも、施設でのケアを考えてみては」という先生の言葉は、私の心に重く響きました。そして何より、その言葉が父の心を動かすきっかけになったのです。先生からの丁寧な説明と勧めがあり、父も少しずつ施設入所を受け入れてくれるようになりました。
見学時の施設に対する不安
父の気持ちが少しずつ前向きになってきたところで、いくつかの施設を見学しました。その中で、現在お世話になっているこの施設さんを見学させていただいた時のことは、今でもよく覚えています。
まず、施設全体がとても綺麗で、清潔感があったのが印象的でした。見学に対応してくださったスタッフの方も非常に親切で、私たちの不安や疑問点に対して、一つ一つ丁寧に説明してくださいました。
そして何よりも驚いたのが、お食事です。見学の際に、入居者の皆さんが普段召し上がっているというお昼ご飯を試食させていただく機会があったのですが、これが本当に美味しかったんです。「これなら父も喜んでくれるかもしれない」と、その時強く感じました。料金体系や介護のサポート内容についても詳しく説明を受け、特に疑問や不安を感じることはありませんでした。