こすもすの家
に78歳・女性・要介護4で入居中の方へのインタビュー

30年ほど連絡を取っていなかった母親が病院に入院して、退院しなきゃいけないという状況で連絡が来たのが始まりでした。 それまでは父親と二人で暮らしてたんですけど、もう自宅に戻るのは難しくなってしまって。年金の額自体も少ないので、どうしようもないっていう感じだったんじゃないですかね。

病院からの退院がきっかけで、施設探しを始めました。正直なところ、僕としてはできれば関わりたくなかったんですよね。僕には僕の家族の生活がありますから。お金の援助とかも難しいですし、今さら…っていう気持ちが強かったんです。 でも、担当の方がすごく親身になってくれて。「年金も少ないし、お金も出せない」という状況を全部話したら、「では生活保護を受けて、こうすればいいんじゃないですか」って提案してくれたんです。役所に何度か足を運びましたが、家族の援助はなしで済むように進めてくれてすごい助かりました。本当にありがたかったです。

葛藤というよりは、ずっと一緒にいたわけではなかったことと、昔家庭内でゴタゴタもあったこともあり、関わりたくないというのが本音でした。 でも、やっぱり親ですからね…。どうにもならないという状態で連絡が来たんだと思うので。 僕たちの生活を壊さずに、どうにかできる方法はないか？というのが一番でした。だから、担当の方が金銭的な負担がない方法を提案してくれたことで、ようやく前に進めたっていう感じです。

見学は、実際に入居した「コスモスの家」さんの他にもう1件行きました。 不安というよりは、念のため「何かあった時にすぐ行けるように」と考えて、自分の住まいからなるべく近い場所を優先しました。距離が一番の決め手でしたね。

入居してからは、本当に助かってますよ。預けてる僕からしたら、すごい楽をさせてもらってます。 正直、「施設に入っても、もっと色々しなくちゃいけないのかな」って思ってたんですよ。でも、初めに言われたものを用意したら、それ以降は一切何もないですね。 施設の方から頻繁に連絡が来ることもないし、「元気にやってるんかな」って思うくらいです。この距離感が、僕にとっては本当にちょうどいいんです。

見学にいった別の施設は、看取りまでしてくれなかったんですよね。その点、「コスモスの家」さんは最後まで看てくれるって言ってくれたので、最終的にここに決めました。体調が変わるたびに新しい施設を探すなんて無理じゃないですか。それが無いっていうのは、すごく大きいですよね。

入居してから、母親に病気が見つかったんですよね。 普通だったら、検査とかで病院に付き添わないといけないじゃないですか。でも仕事してるから、急にパッて言われてもなかなか行けないんですよね。そしたら、そういう病院の付き添いも全部施設の方がやってくれて。すごい助かりました。 これからの治療についても、しっかりと相談をしてくださって、「年も年だから手術はしないで、痛くなったら痛み止めを打つようなケアでお願いします」って伝えたら、その通りにやってくれてるみたいで。本当に全部お任せできています。

やっぱり、最終的にここに決めた一番の理由は、「看取りまでしてくれる」という点でした。 他の施設だと、体調が悪くなったらまた次の場所を探さないといけない。でもここは、最後までいていい。新しい施設を探したりとか、そういうのが無くて済むっていうのは、本当にいいですよね。 僕が今心配してることといえば、亡くなった時に、これから何をすればいいのかなっていうことくらいです。それくらい、他のことは全部安心して任せられています。

面会は、僕は一度行きました。あとは、父や弟が何回か行っているみたいですね。 母にも「あんまりちょくちょく来ると、周りの人もいるわけだから」って言われて。だからそんなに行かないようにはしてるんですけど、僕らにとっては、そのくらいの距離感でちょうどいいんですよね。 施設の方から用事もなく連絡が来ることもないですし、本当に静かなもんです。こちらに過度に連絡などがくることなく、でも親のことはしっかり看てもらえている。このバランスが、僕にとっては一番ありがたいことですね。

やっぱり、家族がやることが想像以上に無かったことですね。入居後の手続きなんかも、施設と役所の方でやってくれたみたいで、僕らはほとんど何もしていません。 消耗品とかも、連絡が来ないってことは、間に合ってるのかなと思って。必要なものがあれば連絡はくれるでしょうし。そういう連絡も来ないので、本当に手がかからないです。

全くないですね。もっと僕も何か手伝わなくちゃいけないんじゃないかなって思うぐらい、何もないので。本当に助かってます。

「できれば関わりたくなかったんです」。ご子息様は、30年ぶりに連絡があったお母様の介護について、率直な言葉で当時のお気持ちを語ってくださいました。ご自身の生活を守りたいという切実な思いと、「でもやっぱり親だから」という責任感。その狭間で悩んでいた時、金銭的な負担をなくす方法を提案され、全てを専門家にお任せできる施設と出会ったことで、道が開けたといいます。「もっと何かしないといけないかと思うくらい、楽をさせてもらってますよ」と話す声からは、心からの安堵が感じられました。介護には様々な形があり、必ずしも家族が密に関わることだけが正解ではない。ご自身の生活を第一に考え、プロを信頼して「任せる」という選択をしたご子息様の体験談は、同じように複雑なご事情を抱える方々にとって、一つの希望になるのではないかと感じました。