入居前はどのような状況でしたか?
当時、80代後半の父と母は二人で暮らしていました。母は少し物忘れが見られるようになり、父も高齢でしたので、二人だけの生活に少しずつ不安を感じ始めていました。
特に心配だったのが食事です。父が母の分まで準備していましたが、栄養バランスまで考えるのは難しく、私たち子どもも仕事があるため、頻繁に実家へ顔を出すことができませんでした。それに加え、母がネットスーパーでサランラップを1年分注文したり、ティッシュを段ボール1箱頼んだりと同じものを大量に注文してしまうようなことも起き始め、これは何とかしなければいけない、と。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
はじめはデイサービスを試したのですが、母がどうにも馴染めず、すぐに「行きたくない」と言い出してしまって…。ケアマネージャーさんとも相談し、いっそのこと施設に入居して、専門の方に見守ってもらう方が母にとっても安心なのではないか、という結論に至りました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
父と母は、一緒に住んでいるとお互いイライラしてしまって、うまく生活が回らなくなっていました。だからといって「施設にずっと入れる」と決めてしまうのは抵抗があったので、まずは馴染めるかどうかの「テストパターン」として入ってもらおうと考えました。施設にいてもらいながら、たまに外泊で家に帰ってくるという形にすれば、お互いにとって良い距離感が作れるのではないか、今のタイミングを逃したら施設入居は難しくなる、と自分たちに言い聞かせて決断しました。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
実は今のニチイケアセンター神戸西舞子に決まる前、父が自分なりに一生懸命、海沿いの施設などを探して回っていたんです。私も電話で問い合わせを手伝ったりしましたが、近隣の施設はどこも「今は空いていない」という返事ばかりで、なかなか見つかりませんでした。
一度、ケアマネジャーさんからの紹介でショートステイを利用したこともあるのですが、そこがかなり辺鄙な場所で。父はすでに免許を返納していたので、面会に行くにも電車を乗り継ぎ、そこからさらにバスに乗るような不便な場所でした。当時は父も「自分はまだ元気だ」という自負があったようですが、実際に通ってみるとその遠さは相当な負担だったようです。
そんな時、当時母が通っていたデイサービスが「ニチイ」の系列だった縁で、ケアプランセンターのケアマネジャーさんから「西舞子なら空きがあるよ」と情報をいただいたんです。何よりありがたかったのはその近さでした。父が歩いて通える距離だったことが決定打になりました。