入居前はどのような状況でしたか?
父は当時90歳、母は88歳で、二人で暮らしていました。
父は要介護3、母は要介護1の認定を受けていましたが、二人とも認知症の症状がありました。
特に母は、通販で同じ品物を何度も注文してしまい、家の中が在庫で倉庫のようになっていることも。父はさらに深刻で、振り込め詐欺の被害に遭ったことさえ忘れてしまい、「うちは入られなくてよかったね」と話すほどでした。被害に遭ったことすら覚えていない父の様子に、家族としては本当にがっくりきてしまいました。
二人とも身体的には比較的元気で、母は自転車に乗るほどでしたが、認知症の進行には大きな不安を感じていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に施設探しを考え、入居に至った直接のきっかけは、両親が相次いで体調を崩したことでした。
まず母が帯状疱疹で入院し、退院後そのままショートステイを利用することになりました。専業主婦だった母がいなくなり、一人になった父の生活はすぐに立ち行かなくなりました。ヘルパーさんの支援はあったものの、真夏に暖房を入れてしまうなど、命の危険を感じるような状況に。様子を見に来てくださったケアマネージャーさんの判断で、父も緊急でショートステイに入ることになったのです。
これを機に、もう二人での在宅生活は限界だと痛感し、本格的な施設入居へと舵を切ることになりました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
実は、施設探し自体は何年も前から行っていました。父が「もう無理だから施設を探してくれ」と言うので動き出すと、後日には「そんなことは頼んでない」と覆される。そんなやり取りの繰り返しでした。
本人の意思がはっきりとしない中で施設探しを進めることには、やはり迷いがありましたし、なかなか話がまとまりませんでした。結局、入居の契約手続きもすべて私が一人で行うことになり、親を施設に入れるという決断の重さを感じながら、複雑な思いで進めていたのを覚えています。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学時に大きな不安を感じることはありませんでした。むしろ、両親が相次いでショートステイに入ることになり、急いで施設を探さなければならない状況だったので、「近隣の施設に空きがあった」ということに、ほっとした気持ちのほうが大きかったです。
強いて言えば、そこは全室個室でしたが、居室にトイレがなく共同だった点は少し気になりました。ただ、それ以上に深刻な不安はありませんでした。