入居前はどのような状況でしたか?
父は当時、要介護5の認定を受けていました。母が亡くなってから、働いている私と兄とで父の面倒を見ていましたが、だんだんと物忘れが気になるようになりました。後になってアルツハイマー型認知症だと診断されたのですが、当時はおかしな行動が増えてきたな、と感じる程度でした。
例えば、夏の夜中に突然スーパーへ行き、息を切らしながら買い物袋を2つも下げて帰ってきたことがありました。何で買ってきたのか聞いても、返事は頓珍漢。また、新聞回収用の紙袋や、まだ使うはずのサーキュレーターを急にゴミ袋に縛って捨てようとしたこともありました。「使わないだろう」と言うのですが、朝まで使っていたばかりなのに、と困惑したのを覚えています。
足も悪くなって杖を使っていましたが、次第に外出もしなくなりました。下の世話もだんだんと難しくなり、洗濯や掃除の頻度が非常に多くなっていたのが大変でしたね。ただ、何でも手伝ってしまうと本人のためにならないと思い、できることは最後まで自分でやらせるようにしていました。今思えば、要介護5の人をずっと家で見ていたのは大変だったなと思います。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
ある時から、父が急にベッドから起きてこなくなり、食事もとらなくなりました。ある日、私が買い物から帰ってくると、父が階段の下で頭から血を流して倒れていたのです。慌てて救急車を呼び、近くの病院に1ヶ月半ほど入院しました。
入院を経て、この状態ではもう自宅で暮らすのは難しいだろうと判断し、入院している間に施設を探し始めることになりました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
施設に入れることへの葛藤や罪悪感は、特にありませんでした。というのも、「もし何かあったら施設に入れる」ということは、以前から家族の間で決めていたからです。母が亡くなってから父が一人残された状態で、私たち兄弟は二人とも働いていますから、家で見るのはもう限界だと感じていました。なので、兄弟間では意見が一致していました。今回、そのタイミングが来たんだな、という感じでしたね。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
実は、施設の見学には行っていません。ケアマネージャーさんから仲介業者の方を紹介してもらい、その方から「ここなら入れる」と提案されたのがこの施設でした。兄が「もう、ここでいいだろう」という感じで決めたので、特に下見はしませんでした。