入居前はどのような状況でしたか?
元夫は80歳になった頃、要介護1の認定を受けていました。
もともと20年ほど前に咽頭癌を患った影響で嚥下に障害があり、食事には工夫が必要な状態でした。
離婚して身寄りも少なかった彼は、生活保護を受けながら一人で暮らしていましたが、体調を崩したことをきっかけに、私の家で同居するようになりました。
しばらくすると、幻覚や幻聴、それに排泄がうまくいかなくなるなど、明らかにおかしいなと感じる症状が出始めました。
当時は本人も私も、それが認知症によるものだとは気づいていませんでした。
杖を使いながらも、家の犬の散歩を日課にするなど、まだ自分でできることもあったのですが、日に日に状態は変わっていきました。
私は仕事を持っていたため、日中ずっと彼のそばにいることはできず、一人にしておくことに不安を感じるようになっていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に施設探しを考え始めたのは、地域包括支援センターに相談したことがきっかけです。
職員の方から「これは認知症の症状ですね」と指摘され、すぐに介護認定の手続きを進めることになりました。
その頃から、彼の状態は坂道を転げ落ちるように悪化していきました。
日課だった犬の散歩も「もう厳しい」と本人から言うようになり、家の中にいても、知らないうちに外に出てしまうような、徘徊の兆候も見られるようになりました。
嚥下障害も認知症の影響でさらに悪化し、食事の際にむせ込むことも増え、命の危険を感じるほどでした。
仕事で家を空けなければならない私にとって、彼を一人にしておくことはもう限界だと感じ、「24時間どなたかに見ていただける環境が必要だ」と痛感し、施設への入居を決意しました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
施設に預けることに対する罪悪感や葛藤は、不思議なくらい全くありませんでした。
むしろ、専門家の方々に24時間体制で見守っていただけることで、大きな安心感を得られると思っていました。
私が仕事で留守にしている間、何かあったらどうしようという不安は常にありましたし、食事や徘徊のことを考えると、このまま自宅でみ続けるのは無理だと感じていたからです。
彼にとって一番安全で、穏やかに過ごせる場所に移してあげたい、という気持ちの方が強かったですね。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学に伺った際、特に不安を感じることはありませんでした。
施設はまだ新しく、使われていないお部屋もあるくらいで、隅々まで清潔感があり、とても綺麗だったのが印象的です。
対応してくださったスタッフの方も非常に丁寧で、明るい方でした。
施設全体が明るい雰囲気に包まれていて、「ここなら良いかもしれない」と素直に感じることができました。