入居前はどのような状況でしたか?
母は91歳で、大腸がんを患っていました。もともとはグループホームでお世話になっていたのですが、出血が続くようになり、検査の結果、腫瘍が見つかったのです。高齢ということもあり、手術は体に大きな負担がかかるだろうと、しばらくは様子を見ていました。本人も人工肛門になることを考えると気が進まないだろうと思い、できる限り手術は避けたい、痛みもなく元気なのだからこのままで、と考えていたのです。
身体的には手押し車があれば自分でトイレに行くこともできましたが、認知症も少しずつ進んでおり、食事をしたことを忘れてしまうようなこともありました。そんな中での手術という大きな決断は、私たち家族にとって本当に悩ましいものでした。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
施設探しを始めた直接のきっかけは、母のがん手術が決まったことでした。出血がひどくなり、腫瘍が体の外に出てきてしまう状態になってしまったため、これ以上は待てないと手術に踏み切ったのです。手術の結果、人工肛門(ストーマ)を造設することになりました。
それまでお世話になっていたグループホームでは、残念ながらストーマの交換といった医療的なケアには対応できませんでした。提携しているクリニックにも相談したのですが、医療行為ではないという理由で断られてしまい、もう施設を移る以外の選択肢がなくなってしまったのです。本当に急なことで、急いで新しい受け入れ先を探し始めました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
以前のグループホームは、母もスタッフの方にとても懐いていましたし、私たち家族としても大変お世話になっていました。できれば、そこでストーマの交換も対応してもらえたら、それが何よりだったと思っています。
慣れ親しんだ環境や、信頼できるスタッフの方々の元を離れなければならないという状況は、とても残念で、心苦しいものがありました。医療的な必要性から仕方のないことだと頭では分かっていても、母にとって一番良い環境から移らなければならないことに、複雑な気持ちを抱えていました。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学に伺った際、一番に感じた不安は、以前のグループホームのような密な関わりを持っていただけるのだろうか、という点でした。こちらは入居者さんの人数も多いようでしたので、一人ひとりの細かい状況まで目が行き届くのか、少し心配になったのが正直なところです。部屋には緊急用のボタンや見守りのカメラも設置されていましたが、本当に何かあった時に、母が自分でボタンを押せるだろうか、カメラは常時見守っていただけるのだろうか、といった不安がよぎりました。