ノアガーデン セイベリッサ
に87歳・男性・要介護3で入居していた方の退去理由インタビュー

父はもともと別の手術のために病院へ入院していたんです。ところが、その入院中に脳梗塞を起こしてしまいまして…。病状自体は落ち着いたので病院からは「これ以上の入院生活は難しい」と言われ、かといって自宅に戻れる状態でもありませんでした。予期せぬ事態が重なり、施設を探さざるを得ない状況になりました。 私は遠方に住んでいて、実家の近くにいる姉が動いてくれたんですけど、姉も仕事がありますし、本当に急いで探さなければならない状況だったんです。

母は最後まで「父を自宅に戻したい」と言っていました。でも、父はもうまともに歩けません。夜中のトイレの付き添い一つとっても、高齢の母が一人で支える「老老介護」になるのは目に見えていました。母の気持ちは痛いほど分かりましたが、「絶対に無理だから」と母を説得するしかありませんでした。

母が一人暮らしになったので、お見舞いに行くのに交通機関を使って一人で行けるところが良い、というのがありました。 姉にほとんど丸投げ状態になってしまったんですけど、正直、じっくり見学して比較するような余裕なんて全くなかったんです。 空きがあるか、父の状態に合うか、あとは費用面ですね。 初めてのことだったので、どうしていいかわからない状態でしたが、条件を満たせばまずはしょうがない、という感じで決めていきました。

入居後の父は、正直なところ不満が多かったようです。というのも、それまで入院していた病院では看護師さんが常に気にかけてくれていたようで、それと比べてしまうと、施設での生活は物足りなく感じたみたいです。常に誰かが構ってくれるわけではない環境の変化に、戸惑いがあったのだと思います。レクリエーションなどもあったようですが、父自身が望まなかったこともあり、参加することはありませんでした。面会に行っても、ほとんどベッドで横になっている状態だったので、お互いの近況報告をするくらいで、話が続かなくなることもありました。 私たち家族にとっては、父の身体的な介護をお任せできるようになったことで、安心した面は確かにありました。しかし、今度は一人暮らしになった母の心のケアという、新たな課題が生まれました。父がいなくなった寂しさからか、母はふさぎ込みがちになり、正直なところ、今では父よりも母のことの方が心配なくらいです。一つの問題が解決しても、また次の問題が出てくるのが介護なのだと実感しました。

最終的に退去を決めた一番の理由は、父の通院の負担が大きくなってきたことです。定期的に病院へ行かなければならなかったのですが、その都度、車椅子で移動するのは本人にとっても付き添う家族にとっても大変でした。それならば、医療的なケアも含めて一つの場所で完結できる病院の方が、父にとっても私たちにとっても良いのではないかという話になったのです。 また、施設が実家から少し距離があり、母が面会に行くのに乗り換えが必要だったことも、次の場所を探すきっかけの一つになりました。実は、入居してからも「このままずっとここで、というわけにはいかないかもしれない」という思いはあり、より良い環境がないか、姉が探し続けてくれていました。幸い、実家から乗り換えなしで行ける場所に新しい病院ができたため、そちらへ移ることを決断しました。

私たちが知る限りでは比較的新しい施設だったようで、建物はとても綺麗で清潔感がありました。設備面で不満を感じることは特にありませんでした。

施設選びで最も重視したのが、一人暮らしになった母が公共交通機関を使って一人で面会に行けることでした。この施設はその条件を満たしており、母が父に会いに行く際の物理的な負担を減らすことができたのは、本当に良かった点だと思います。急な施設探しの中で、この条件をクリアできたことは幸いでした。

面会時間について、特に厳しい制限がなかったのもありがたかったです。おかげで、家族それぞれの都合に合わせて父に会いに行くことができました。遠方に住んでいる私も、時間を気にせず顔を見に行くことができたので、その点はとても助かりました。

まず消耗品の管理体制についてです。必要な物品の連絡をいただくのは大変ありがたいのですが、スタッフの方々の間で在庫状況の共有をより正確に行っていただけると、家族の負担が少し減るのではないかと感じました。おむつやパットを一日どれくらい使うかなどの目処がわからなかったので、実際に入ってみると消費が早かったり、備品代が予想以上にかかったりしました。 また、一番気になったのは、父が夜中に大きな声を出してしまうことがあった際の施設の反応です。脳梗塞の影響もあったのかもしれませんが、そのことについて「今後も頻繁に続くようであれば、この先ずっとこちらで、というのは…」といった趣旨の連絡を受けたことがありました。もちろん、他の入居者様への配慮も必要ですから仕方のないことなのかもしれませんが、少し肩身の狭い思いをしたのは事実です。

ご自身は遠方にお住まいで、お父様の介護や施設探しはお姉様が中心だったとのことですが、お父様のこと、そして一人暮らしになったお母様のことを常に気遣われているご様子が伝わってきました。予定外の出来事から始まった施設探し、比較検討の余裕がない中での決断、そして入居後のご家族それぞれの思いなど、これから施設を探す多くの方が「自分ごと」として共感できる貴重なお話だと思います。