入居前の状況
以前、母がいたのは療養型の病院でした。もともと入院していた病院の相談員の方に、ホスピスのような所を探していると伝えたのですが、連携している数か所の病院しか紹介してもらえず、「この中から選びなさい」という感じでした。選択肢がほとんどない中で、家から一番近くて、何かあればすぐに駆けつけられるという理由でそこを選びました。 しかし、そこでの扱いは、本人が望んでいたものとはあまりにもかけ離れていました。本人は延命治療を望んでいなかったのに、まるで人を虐待するかのように点滴をされたり…。私と連絡を取り合うためのスマートフォンも持ち込み禁止。母は血液の病気だったので、「感染リスクが高いから」と大好きだった本の持ち込みすら許されませんでした。もちろん良い方も多かったのですが、中には物を投げるような職員の姿も見てしまいました。
施設探しを始めたきっかけ
そんな母の姿を見て、「このままでは母があまりにも気の毒で、自分が絶対後悔してしまう」と強く思ったことがきっかけです。家に連れて帰るわけにはいきませんでしたが、何とかしなければ、という一心でインターネットで検索し、ホスピスケアを行っている施設があることを知りました。ホームページを見つけた時、「こんな素晴らしい施設にもし移れたら、母も思い残すことないだろうな」と感じ、ご相談に乗っていただくことにしたんです。
入居決断時の葛藤・罪悪感
介護というのは、本当にデリケートな部分です。どこか施設に入れることへの罪悪感や後ろめたさみたいなものがあって、特に私たちの世代は、親の介護と自分の仕事や生活との間で本当に大変な思いをしています。相談できる相手もなかなかいませんし、兄弟に相談しても、背中を押してもらうというよりは、どちらかが犠牲になる、という話になりがちで…。そういった難しさも感じていました。