入居して想定外だったこと
施設探しでは、「いつでも自由に面会できること」を第一条件にしていました。そのため、面会時間が15分などと制限されている療養型などではなく、必然的に有料老人ホームの中から選ぶことになりました。
その条件は満たされたのですが、今思うと、そのせいで医療面でのケアが少し手薄になってしまったのではないか、という気持ちもあります。看護師さんは24時間いてくれましたが、医師は週に1回の巡回です。何が正解だったのかはわかりませんが、もう少し医療ケアが充実している施設という選択肢も考えるべきだったのかもしれない、と今になって思います。
また、究極的な理想を言えば、費用がかかってもいいから「家に連れて帰りたかった」という想いがずっとありました。しかし、夜間の痰吸引が必要という状況では、ケアマネージャーさんに相談しても「難しい」と言われるばかりで、誰も真剣に相談には乗ってくれませんでした。施設の紹介だけでなく、在宅介護の可能性も含めてトータルで相談できる場所があれば、と強く感じましたね。
改善点
今振り返って思うのは、どちらの施設に対しても「もう少し、車椅子に乗せて外の景色を見せてあげてほしかった」「動かせる範囲でいいから、少しは体を動かしてほしかった」という気持ちがあったということです。
ただ、介護については素人ですから、「プロの方々が何もしないということは、下手に動かさない方が良いと判断しているのだろう」と考えてしまい、遠慮して自分の要望を強く言えずに終わってしまいました。
「今、父はこういう状況だから、こういうケアをしています」といった、専門家からの詳しい説明があれば、私たち家族ももっと納得できたのかもしれません。なぜそのケアが必要で、なぜこれはしないのか。最後までよくわからないままだった、という感覚が残っています。