SOMPOケア そんぽの家　倉敷西
に91歳・男性・要介護2で入居中の方へのインタビュー

父は足腰が弱く、母は短期記憶に課題を抱えながらも、長年お互いに足りない部分を補い合いながら二人で暮らしていました。私たち姉妹も3人で協力しながら週末ごとに実家へ通ってサポートを続けていましたが、正直なところ、少しずつ疲れも溜まってきていました。姉妹の間では「いつかは施設にお世話になるかもしれないね」という話が、自然と出るようになっていました。

本格的に探し始めたのは、父が入院したことでした。というのも、父が入院している間、母は短期記憶の問題もあって一人では家にいられなくて、ショートステイを利用していたんです。なので、父の退院が近づいてきた時に、インスリン注射が必要な父と、見守りが必要な母と、この二人がまた家で暮らすのはもう難しいだろうなと、そう思ったんです。ちょうど主治医の先生からも同じようなお話があったので、本格的に施設を探すことにしたんです。

在宅でのサポートに限界を感じていたので、姉妹の間では「いつかは施設に」と話していました。ですから、もちろん葛藤はありましたが、父の入院をきっかけに「その時がきたんだな」と覚悟を決めた形です。一番の葛藤は父自身にあったと思います。長年住み慣れた家を離れることにはやはり抵抗がありましたので、主治医からの勧めであることを重点的に伝え、さらに「平日は施設で過ごして、週末は家に帰ってこよう」と外出や外泊が自由にできることを話して、なんとか納得してもらいました。

急に施設を探さなければならなくなり、自分たちでネットから探し始めたのですが、サービス付き高齢者向け住宅など色々な種類が出てきて、本当に分からなくなってしまって…。頭の中が散らかってしまい、「一体どうすればいいの？」と途方に暮れていたのが、見学前の正直な気持ちです。

最初は抵抗のあった父も、今では母と一緒にとても機嫌よく、安心して過ごしてくれています。当初は夫婦二人で入れるお部屋を探していました。ただ、こちらの施設には夫婦部屋がなかったので、同じフロアに二部屋借りて、一部屋をリビング、もう一部屋を寝室のように使い分けていて、もうべったり一緒にいますね。 先日、父が体調を崩した際も、スタッフの方がすぐに異変に気づき病院へ連れて行ってくださいました。その父が入院している間、やはり一人になると母は不安そうで、病院の父も母に会いたがっていて…。あれだけ長く一緒にいても、やっぱり離れると寂しいんだなと、見ていてなんだか不思議ですよね、そんな気持ちになりました。私たち家族もプロの方々が見守ってくれているおかげで、安心してお任せできています。

見学には母も一緒に行ったのですが、案内してくださったスタッフの方が、母に対して本当に気遣っていただいて、その優しい声かけや対応がとても印象的でした。その温かい人柄に触れて「こういう対応をしていただけるなら、これから安心して預けられるかな」と思えたんです。これが決め手の一つですね。

見学の時に感じたスタッフの方々の温かさは、入居後も全く変わりません。面会などでいつ施設を訪れても、どのスタッフさんも気持ちよく挨拶をしてくださいますし、私たちが行った時だけではないっていうのが分かるんです。他の入居者の方への声かけの仕方を見ていても、一人ひとりの尊厳をきちんと尊重してくださっているのが伝わり、本当に信頼できます。

父を入居へと説得する際の大きな後押しにもなったのが、外出や外泊が自由にできる点です。ただ、両親二人だけで外出するのはできないので、家族の付き添いか、職員さんに付き添っていただく場合は別料金になるようです。それでも、面会時間に厳しい制限がないなど、暮らしの自由度が高いのはありがたいです。

父の糖尿病へのケアは最も重視した点です。訪問診療で日々の服薬管理などをお任せできる上、先日体調が急変した際も、すぐに気づいて提携病院へつないでくださいました。この迅速な医療連携体制があることは、家族にとって何よりの安心材料です。

強いて言うなら、もう少し皆で集まるアクティビティのようなものがあれば嬉しいです。うちの両親は二人で完結してしまっているところがあるので、体操の時間など、集まる「きっかけ」になるような機会がもっとあると、他の入居者の方との交流も広がるのかなと感じます。

今回お話を伺った娘様の、お電話口での穏やかなお声と、ご両親のことを語られる際の優しい言葉選びがとても印象的でした。「父は足腰、母は記憶」と、互いに支え合ってこられたご夫婦の深い絆。その大切な関係性を、施設という新しい環境でも変わらずに続けていけるよう、ご家族が心を尽くして場所を選ばれた経緯が、お話の端々から伝わってきました。ご両親が今も仲睦まじく過ごされているエピソードは、介護施設の役割が単なる「お世話」だけでなく、その人らしい「暮らし」と「関係性」を支えることにあるのだと、改めて気づかせてくれるものでした。貴重なお話をありがとうございました。