ところが、しばらくして施設の経営者が変わったんです。今でも交流のある方から「経営者が変わってから、中の状態というか、働いている人たちの関係があまり良くないらしい」という話を聞くようになりました。実際に、以前は熱心だった外出の企画などもなくなったようでした。スタッフの方々も、会社の方針が変わったことで働きづらさを感じていたのか、あるいはやる気が削がれてしまったのか……私たち家族から見ても、以前とは施設の雰囲気が変わってしまったように感じました。
そんな時に、父が入居していた施設に空きが出たという連絡があり、場所も家から近いので母もそちらへ移ることを決めました。そして、いよいよ移動するという当日になって、母が体調を崩してしまったのです。施設の看護師さんも見てくれたのですが「大丈夫でしょう」と言われ、そのまま移動することになりました。
ところが、移動先で容態が急変し、救急搬送されたのです。診断はノロウイルスと、それによる誤嚥性肺炎でした。酸素も最大量で投与されるほど危険な状態で、本当に気が気ではありませんでした。幸い一命は取り留めましたが、もしあの時、施設側が母の体調不良の訴えをもっと真剣に受け止め、移動を見送るか、あるいはすぐに病院へ連れて行くという判断をしてくれていれば…と思うと、本当に残念でなりません。もう少し配慮があれば、あんな危険な目に遭わせずに済んだのではないかと、今でも悔やまれます。