入居前はどのような状況でしたか?
父は入居当時92歳で、要支援2の認定を受けていました。認知症はありませんでしたが、ペースメーカーを装着し、尿道に管を入れている状態でした。それでも自分の足で歩くことはでき、身の回りのことも何とかこなしていました。
入居前は私の家で、家族で暮らしており、私が仕事で日中家を空ける間は、主に母が父の様子を見てくれていました。父にとっては長年連れ添った母がいつもそばにいる、穏やかな毎日だったと思います。私自身も、母がいることで安心して仕事に行けていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
施設探しを考え始めた直接のきっかけは、母の検査入院が決まったことでした。母が入院してしまうと、日中は父が一人きりになってしまいます。仕事があるため私がずっとそばにいるわけにもいかず、かといって父一人で安全に過ごせるかというと、とても不安でした。
そこで、母の入院期間に合わせて、父も検査入院という形で一時的に病院にお世話になることにしました。ただ、退院後の生活を考えると根本的な解決にはなりません。ケアマネージャーさんに相談したところ、まずは市が運営する施設に1ヶ月間だけ緊急で入居させてもらえることになりました。
そして、その1ヶ月の間に次の施設を探しましょう、という話になったのです。ケアマネージャーさんから「スマイルちのさんに空きが出ましたよ」と紹介していただき、移ることを決めました。自分たちでたくさんの施設を比較検討する余裕は、正直ありませんでした。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
父を施設にお願いするという決断は、今でも時々、これで本当に良かったのだろうかと考えてしまいます。施設は一年中快適な温度に保たれていて、温かいご飯も時間通りに出てきます。安全面を考えれば、これ以上ない環境です。でも、たとえ古くて寒かったとしても、住み慣れた家で家族と一緒にいる方が、父にとっては幸せだったのではないか…と、ふと考えてしまうのです。
特に、私の住んでいる地域は昔ながらの考え方が根強いところもあって、知人から「いずれは家に連れて帰ってあげるんだろう?」というような言葉をかけられることがあります。悪気がないのは分かっているのですが、そう言われるたびに、まるで自分が親不孝をしているかのような、罪悪感に襲われることもありました。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
他の施設と比較検討する時間がなかったので、契約を結ぶタイミングで初めて施設の中を見せていただきました。正直なところ、他に選択肢がない状況だったので、見学してどうしようかと考える余地はありませんでした。ただ、対応してくださったスタッフの方がとても気さくな方で、丁寧にお話を聞いてくださったので、施設に対する不安や心配は特に感じませんでした。