ベストライフ与野
に86歳・女性・要介護2で入居中の方へのインタビュー

母は、施設に入る直前まで私たち家族と一緒に暮らしていました。ですが、足がおぼつかなくなり、家の中でもシルバーカーや杖を使って移動するようになってからは、常に転倒の危険がつきまとっていました。同居しているので、誰かしらが家にいる時間は見守ることができるのですが、どうしても仕事や外出で家を空け、母一人になってしまう時間帯がありました。

私たちの目が届かない時間帯に、実際に家の中で転倒することが何度かありました。その度に「このままでは危ない」という気持ちが強くなり、24時間誰かが見守ってくれる環境の方が、母にとっても私たちにとっても安心なのではないかと考え、施設探しを始めることにしたのです。

施設を探すにあたって、やはり世間で聞くような介護施設で起こった事件の話もあるじゃないですか。そういったニュースを見ると、どうしても不安な気持ちはありました。

実は、亡くなった父も施設でお世話になった経験があります。ただ、父の場合は先が見えた病気を持っていたので、長く入るということは考えていなかったんです。だから、父が最後、父らしくのんびり過ごせるようなところで、と思って、もっと高額なところも含めて10件以上見学しました。しかし、今回の母の場合は違います。幸い大きな病気はなく、これから長期でお世話になる可能性が高い。そのため、父の時とは全く違う視点や、年金で長期で入れるという条件で施設を探すことにしました。 父の時の経験があったので、今回の施設探しは比較的スムーズに進み、見学は1件のみに絞りました。ただ、見学の際に少しだけ違和感があったのも事実です。案内してくださったのが、現場のスタッフの方ではなく本部の方で、どっちかというと営業マンみたいな感じだったんです。具体的な質問をしても「現場に確認します」という場面があり、少し物足りなさを感じました。

入居して、もうすぐ半年になります。2、3週間に一度は顔を見に行っていますが、母はとても落ち着いて、うまくやっているようです。驚いたのは、もともと母はそんなにイベントなどに参加するタイプの人じゃなかったんですが、今では施設での日々のレクリエーションを楽しんでいるみたいなんです。職員の方々も皆さん本当に良い方ばかりのようで、母も落ち着いており、そのおかげで穏やかに過ごせているのだと思います。 そして何より、私たち家族の心の変化が一番大きかったかもしれません。やはり一人で留守番をさせておくのが心配だったので、その気持ちから解放されて、ほんと楽になりました。

最終的に、施設長さんが女性で感じのいい方だったのが、割と大きな決め手になりました。母も女性ですから、同性の施設長さんがいるというのは、大きな安心材料になったんです。短い時間でしたが、その方とお話しして「ここなら母を任せられるかもしれない」と感じ、入居を決断しました。

この施設の魅力は、まず費用がリーズナブルなことです。施設が古いは古いんですけど、それには理由があって、もともと企業の社員寮だったところを転用しているそうなんです。その分、初期費用を抑えて、利用者にも費用を抑えて提供していると。母が生活するお部屋も、古さを感じますが、不衛生だったりということは全くなく、生活する分には全然問題ありません。そして何より、ここで働く職員さんがすごく皆さんいい方で、母からもそう聞いていますし、その温かいケアのおかげで、安心して母を任せられています。

日々の食事やレクリエーションが充実している点も、大きな魅力です。こちらの施設の社長さんが新潟のご出身とかで、お米にはこだわっているらしいんですよね。母も、口に合わないとは言っていなくて、不満はないみたいです。また、行事食なども工夫されていて、日々の楽しみになっていると聞いています。レクリエーションも毎日何かしら開催されているようで、以前はそんなにイベント等に参加するタイプではなかった母が、今では楽しんで参加しているという話を聞いた時は、本当に嬉しく思いました。

パンフレットだと「大宮駅から歩いて10分ちょっと」って書いてあるんですけど、自分たちの足で歩くと10分かからないくらいかなっていう感じで、すごく便利がいいんです。駅が近いので面会に行くのが非常に楽ですし、周辺に商業施設も多いため、必要なものを買い足すのにも困りません。また、医療連携もしっかりしています。内科の提携医が定期的に往診に来てくださいますし、それ以外の専門的な治療が必要になった場合でも、施設の方が外部の病院へ連れて行ってくださいます。実際、入居後に母が怪我をした際も、施設の方がすぐに外部の病院へ連れて行ってくださいました。仕事があるとすぐには対応できないんですけど、私たちが駆けつけることもなく対応していただけたので、本当に助かりましたし、安心ですね。

強いて言うなら、お風呂の介助についてです。母は入居前から「お風呂の時は、できれば同性のスタッフさんにお願いしたい」と希望していました。ただ、スタッフのシフトの関係で、どうしてもそういうわけにいかない時があると事前に説明を受けていました。入居後、やはり気になる時と気にならない時と、波があるようです。もちろん希望通りが一番ですが、人手がそういう状況なので、もうそれは仕方がないと私たちは思っています。不満というわけではなく、そこだけですかね。それ以外は本当にいい施設さんで、よかったです。

お父様の介護施設の経験を踏まえ、今回は「長期的な視点」と「費用面」という非常に現実的かつ冷静な視点で施設を選ばれたお話が印象的でした。見学時の小さな違和感に戸惑いながらも、最終的には施設長の人柄という「人」を信じて決断されたことは、施設選びの本質を突いているように感じます。何より、「心配事がなくなり、本当に楽になりました」と穏やかな声で語られた時、ご家族にとっても施設への入居が大きな安心に繋がったことが深く伝わってきました。