「施設っぽくない」雰囲気
見学を決めた一番の理由は、いわゆる老人ホームという感じがしない、落ち着いた雰囲気でした。1日に5軒もの施設を駆け足で見て回ったのですが、その中でも特に印象的だったのが、この施設の佇まいです。
エントランスを入ると、まるで少し良いホテルのロビーのような空間が広がっていて、季節のお花が華やかに飾られていました。館内もブラウン系を基調としたシックな内装で統一されており、母も「ここなら落ち着いて過ごせそう」と気に入ってくれました。病院のような無機質な雰囲気は嫌だなと思っていた私たちにとって、この「施設っぽくない」温かみのある空間は、大きな決め手になりました。
食いしん坊の母も喜んでいた食事
食べることが大好きだった母にとって、毎日の食事は暮らしの大きな楽しみの一つでした。見学の際に試食させていただいたお食事がとても美味しかったことも、この施設に決めた理由の一つです。
特に母が喜んだのが、週に一度お刺身が出ること。高齢者施設では生ものはなかなか提供されないと聞いていたので、これは嬉しい驚きでした。さらに、年に数回、天ぷらやお寿司のキャラバンも回ってくるんです。
日々の暮らしの中に、こうした食の楽しみがあるというのは、心豊かな生活を送る上でとても大切なことだと感じました。
多彩なレクリエーション
入居当初は要介護1で、まだまだ元気だった母にとって、施設での時間が単調なものにならないかは少し心配でした。しかし、私たちの心配を良い意味で裏切ってくれるほど、レクリエーションが非常に充実していました。
毎月、お花の先生が来て開催されるフラワーアレンジメントの教室は、母の一番のお気に入りで、いつも完成した作品を嬉しそうに部屋に飾っていました。他にもお習字や絵画もありましたし、お化粧の講座なんかは、女性の入居者さん方がキラキラとしたお顔で参加なさっていたのを見たことがあります。
レクリエーションのおかげで、施設での生活に張りが生まれ、毎日を生き生きと過ごすことができたのだと思います。
心から信頼できる、スタッフの方々の温かい人柄
何よりも、この施設を選んで良かったと思えるのは、スタッフの皆さんの存在です。ホーム長さんはじめ、介護スタッフの方、お掃除をしてくださるパートの方まで、皆さん本当に感じが良く、いつも笑顔で接してくださいました。
母が亡くなってから何年も経ちますが、今でも近所のスーパーでパートだった方にお会いすると、向こうから気づいて「お元気ですか」と声をかけてくださるんです。そうした退去後の関係性からも、いかにスタッフの皆さんが入居者一人ひとりと心を通わせてくださっていたかが伝わってきます。この温かい「人」の力こそが、この施設の最大の魅力だと思います。
「終の棲家」として、尊厳ある最期を迎えさせてくれたこと
母は入居してすぐに「ここが私の終の棲家」と話していましたが、施設はまさにその言葉通り、母の最期まで温かく、そして尊厳をもって支え続けてくれました。
母が息を引き取った時、業務の忙しさなど関係なく、全職員の方が部屋を訪れ、一人ひとり母の手を握り、お別れをしてくださった光景は一生忘れられません。それは、単なる介護サービスの提供者と利用者という関係を超えた、人と人との深いつながりの証でした。愛する母の最期を、こんなにも温かい方々に見守っていただけたこと。これ以上の感謝はありません。家族として、心から安心してお任せできる場所でした。