入居前はどのような状況でしたか?
母は施設に入る前は弟と二人で暮らしていました。熱中症で入院するまでは、自分のことはほとんどできていたんです。買い物にも頻繁に出かけていましたし、洗濯や食事の準備も、完璧ではないにしても、ある程度は自分でこなしていました。弟も手伝っていたようですが、基本的には自立した生活を送っていたと思います。
しかし、熱中症で入院し、食事もとれない寝たきりの状態になってしまいました。約半年間の入院生活を経て、退院の時期が近づいた時、保健所や病院から「一人でいる時間が長くなるのは難しい」と言われ、施設入居を勧められました。それまで、まさか施設に入ることになるとは思ってもいなかったので、正直戸惑いがありました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
施設探しは、母が熱中症で入院し、退院の話が出始めた頃から始まりました。病院側が施設を探してくれたという経緯です。母が一人でいる時間が長くなることへの不安、そして、退院後も誰かが四六時中一緒にいることができないという現実的な問題が、入居を考える大きなきっかけでした。
私自身も、遠方に住んでいるため、頻繁に様子を見に行くことができません。弟も仕事があるので、日中ずっと母のそばにいることは不可能です。そうした状況の中で、プロの目が行き届く施設で生活を送るのが、母にとって一番良い選択だと考えるようになりました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
母が施設に入居すると決まった時、やはり「申し訳なさ」よりも「罪悪感」が強かったです。つい最近まで、自分でいろいろなことができていた母が、施設で生活することになる。特に、熱中症になる前は毎日買い物に出かけたり、活発に動いていた人だったので、「なんでこんなことになってしまったんだろう」という思いが頭をよぎりました。
「周りには90歳になっても元気で一人で暮らしている人がたくさんいるのに、なぜうちの母は…」と比較してしまうこともありました。もし熱中症にならなければ、今も元気に過ごせていたのではないか、という複雑な気持ちもありました。でも、これも現実。受け入れるしかありませんでした。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
私自身、施設を見学する機会は少なかったのですが、特に施設自体に対する大きな不安はありませんでした。ただ、母が新しい環境に馴染めるかどうか、という点は少し心配でした。本人が自ら積極的に交流するタイプではないので、他の入居者の方とコミュニケーションが取れるのか、レクリエーションに参加できるのか、といった点が気になりました。