入居前はどのような状況でしたか?
母が入居したのは、79歳の頃でした。それまでは世田谷区の実家で一人で暮らしていましたが、入居する前からヘルパーさんに来てもらうなど、少しずつ介助が必要な状態でした。要介護認定は、確か要介護1か2だったと思います。
当時は認知症の症状も出始めており、物忘れをしたり、話の辻褄が合わなくなったりすることがありました。私との待ち合わせ場所を間違えて、全然違う場所で待っていたこともあります。夜中に「家のチャイムが鳴る」としきりに言っていましたが、おそらくそれも症状の一つだったのかもしれません。身体的にも、すり足で歩くようになり、誰かが支えていないと危なっかしい状態でした。問題が起きるたびに私が世田谷まで通うのも、だんだんと大変になってきていました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に施設探しを始めたのは、母が自宅で倒れて入院したことが直接のきっかけです。リハビリ病院を経てなんとか自宅に戻ることができたのですが、入院生活で一気に体力が落ちてしまい、一人で服を着替えることすら難しくなっていました。
退院してから1週間も経たないうちに、夜中に「服が着られない」とマンションの管理室に助けを求めるようなことがあり、「ああ、もう一人で暮らすのは限界だな」と痛感しました。そこでお世話になっていたケアマネジャーさんに相談し、急いで施設を探すことになったのです。私がすぐに駆けつけられるように、自宅のある府中市で施設を探していただくようお願いしました。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
母が倒れてから入居までは本当にあっという間で、当時は施設に入れることへの罪悪感を考える余裕すらありませんでした。それよりも、現実的な問題、特に金銭的な不安が頭の中を占めていました。
母の年金やそれまでの貯蓄だけで、これからいつまで続くか分からない施設の費用を払い続けていけるのか、全く見当がつきませんでした。母自身も認知症が進んでいたため、どこにどれだけの資産があるのかを正確に把握することができず、とにかくお金のことが一番の心配事でした。この先、支払いを安定して続けていけるのだろうかという大きな不安を抱えたまま、入居を決断しなければならない状況でした。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
ケアマネジャーさんにご紹介いただき、まずは私一人で見学に伺いました。正直な第一印象は、施設が少しこぢんまりとしているな、というものでした。豪華で立派な施設というわけではなかったので、「この環境で母は本当に快適に過ごせるのだろうか」と、少しだけ不安に感じたのを覚えています。
ただ、とにかく早く入居先を決めなければならないという切羽詰まった状況でしたので、贅沢は言っていられないという気持ちでした。良く言えば、アットホームで手作り感のある温かい雰囲気とも言えたかもしれません。
それ以上に大きかったのは、やはり料金面での不安です。見学時に施設の方から料金体系についてご説明は受けましたが、母の正確な資産状況が分からない中では、この費用をいつまで払い続けられるのかという根本的な心配は、すぐには拭えませんでした。