ベストライフ横浜瀬谷
に92歳・男性・要介護3で入居していた方の退去理由インタビュー

父が92歳の時のことでした。もともと母と二人で暮らしていましたが、病気で入院することになり、退院する頃には残念ながら自力で歩くことが難しくなってしまいました。車椅子がなければ移動できない状態になり、自宅に戻っても高齢の母が一人で父の面倒を見るのは、非常に困難な状況でした。

一度は自宅に帰ったものの、やはりこのままでは共倒れになってしまうという危機感から、急いで介護施設を探し始めました。退院の時期も迫っており、正直なところ、あまり時間的な余裕はありませんでした。

父を施設に入れることについては、家族として葛藤がなかったわけではありません。父自身、本心では施設に入ることを嫌がっていたのではないかと思います。住み慣れた家を離れることへの抵抗感は、傍で見ていても伝わってきました。

ケアマネージャーさんに相談し、いくつかの施設を紹介してもらいましたが、実際に見学に足を運んだのは、ベストライフ横浜瀬谷だけです。何よりも、介護認定がまだ下りていない段階でも受け入れてくださるという点、そしてすぐに入居できるというスピード感が、当時の私たちにとっては大きな決め手となりました。

入居してからも、父本人はあまり居心地が良くなさそうな様子でした。環境の変化に加え、入居後にまた別の病気で再入院したりと、状況が目まぐるしく変わる変化の連続だったからかもしれません。父にとっては、落ち着いて過ごすのが難しい時期が続いてしまいました。 施設ではレクリエーションなども企画されていたようですが、父はあまり参加していなかったと聞いています。もともと大勢で何かをするのが得意なタイプではなかったですし、他の入居者様の中には認知症の方もいらっしゃったようで、なかなか思うように会話が続かないことも、父にとっては少し寂しかったのかもしれません。 スタッフの方の対応についても、父からすると少し物足りなさを感じることがあったようです。ただ、これは私自身が毎日様子を見ていたわけではないので、あくまで父から伝え聞いた話になります。私たち家族が面会に行く際はいつでも温かく迎えてくださり、外出なども自由にできる体制だったので、その点はありがたいと感じていました。

退去を決めた一番の理由は、父の医療的なケアの必要性が高まったことです。入居中に入院した際に癌が見つかり、それからは食事を摂ることも難しいほどに衰弱してしまいました。そうなると、生活のサポートが中心のこちらの施設では、必要なケアを提供し続けることが難しくなってきます。 施設の方からも「専門的な緩和ケアが受けられる施設に移った方が、お父様にとっても良いのではないか」というお話をいただきました。私たち家族も同じように感じていたため、本格的に緩和ケアを専門とする施設を探し、そちらへ移ることを決めました。 父自身も「本当は家に帰りたい」と漏らしてはいましたが、医療的なケアの必要性が高まったことで、最期を穏やかに過ごせる専門の緩和ケア施設へ移る決断をしました。

この施設を選んで良かった点の一つは、建物のハード面が非常に充実していたことです。比較的新しい施設だったようで、館内はどこも清潔で明るく、とても気持ちの良い空間でした。父が生活する居室も十分に広く、車椅子での生活でも不便を感じることなく、プライベートな時間を過ごすことができたと思います。家族が面会に訪れた際も、快適に過ごせる環境だったのはありがたかったです。

父の退院が迫り、本当に時間がない中で施設を探していた私たちにとって、すぐに入居の受け入れを決めていただけたことは、何よりの救いでした。特に、当時はまだ父の要介護認定が下りていなかったのですが、それでも問題なく入居させていただけたことには、本当に感謝しています。緊急性が高い状況にある家族にとって、こうした柔軟な受け入れ態勢は、非常に心強い存在だと感じました。

面会の時間に厳しい制限がなく、家族が「会いたい」と思った時にいつでも訪問できる環境だったことも、良かった点の一つです。また、手続きをすれば外出も可能だということで、入居者の自由を尊重してくれる姿勢が感じられました。実際には父の体調の問題で外出する機会はありませんでしたが、いざという時に家族と外の空気を吸いに行けるという選択肢があるだけでも、気持ちの面で大きな支えになっていたと思います。

父が漏らしていた不満の一つに、周りの入居者の方々とのコミュニケーションがありました。父には認知症がなかったのですが、周囲には認知症を患っている方も多く、「会話がなかなか成立しない」ことが寂しかったようです。 もちろん、集団生活ですし、スタッフの方々もお忙しい中で多くの入居者様の対応をされていることは重々承知しています。ただ、もし可能であれば、一人ひとりの心境に寄り添った、きめ細やかなコミュニケーションがあれば、父の気持ちも少しは和らいだのかもしれない、と感じることがあります。 環境の変化に戸惑う入居者の心に、もう少しだけ深く寄り添っていただけると、より安心できる場所になるのではないかと思います。

お父様を想うお気持ちと、ご病気の進行という変化の中で、ご家族として最善の選択をしようと奔走された当時のご様子が、静かな語り口から深く伝わってきました。施設での生活について、ご本人様が感じていたことと、ご家族として客観的に見ていたことの両方をお話しいただき、施設選びが持つ多面的な難しさと大切さを改めて感じさせられました。貴重な体験談をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。